判旨
自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」とは、営利の目的を必要とせず、自家用農産物を栽培する場合も含まれる。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」の意義について、営利の目的が必要か。自家用農産物の栽培目的による耕作がこれに含まれるかが問題となる。
規範
自作農創設特別措置法2条2項の「耕作の業務を営む」とは、必ずしも営利の目的をもって農業を経営することを要しない。自己の世帯の消費に供する農産物を栽培する目的(自家用農産物栽培目的)であっても、継続的に土地を耕作する活動であれば、同条項の「業務」に該当する。
重要事実
上告人は本件農地の所有者であったが、訴外Dが上告人から本件農地を借り受けて耕作していた。DおよびEは、販売目的ではなく自家用農産物の栽培を目的として本件農地を借り受けていた。この事実に基づき、本件農地が同法にいう「小作地」に該当するか否かが争われた。
あてはめ
本件において、訴外Dらが本件農地を借り受けて耕作していた事実は認められる。同条項の「業務」は営利目的を必須とするものではないため、Dらが自家用農産物の栽培を目的としていたとしても、それは「耕作の業務を営む」ことに他ならない。したがって、当該耕作のために貸し付けられていた本件農地は、同法上の小作地としての性質を有するものと評価される。
結論
本件農地を小作地と解した原審の判断は正当であり、自家用栽培目的の借地も「耕作の業務を営む」ものとして同法の適用対象となる。
実務上の射程
行政法や農地法上の「業務」概念の解釈において、営利性の有無を問わないことを示した事例。自作農創設という政策目的を重視し、実態としての耕作が行われていれば広く「業務」に含めるべきとする射程を有する。
事件番号: 昭和28(オ)1358 / 裁判年月日: 昭和30年7月15日 / 結論: 棄却
農地所有者間で交換的に相手方所有農地を耕作している場合、右農地は小作地である。
事件番号: 昭和30(オ)718 / 裁判年月日: 昭和33年3月7日 / 結論: 棄却
一 農地所有者の地位、職業、子の教育関係等を考慮すれば右所有者が村内に住所を有するに至るであろう時期が七年余の将来より更におくれるかも知れない状況にある場合は、その地主は自作農創設特別措置法第四条第三項にいわゆる「当該農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込のあるもの」に該当しない。 二 農地賃貸借について農地…
事件番号: 昭和27(オ)628 / 裁判年月日: 昭和32年2月21日 / 結論: 棄却
農地賃貸借契約上の賃借人が老齢のため、昭和19年以来同居の子に農耕は勿論主食の供出、世帯の切廻し等一切を任せ、自分は多忙の折子の手伝をする程度であつて、この事実を地主も了承していた場合は、右の子は自作農創設特別措置法第六条の二にいわゆる「小作地に就き耕作の業務を営んでいた小作農」にあたる。
事件番号: 昭和27(オ)131 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく建物の買収には、明文の規定がなくとも、当該建物が売渡農地の利用上必要であることを要する。 第1 事案の概要:訴外Dは、本件建物に10年以上居住し農業を続けていた。その後、自作農創設特別措置法に基づき、わずか3畝10余歩の農地の売渡しを受けた。これに附帯して…
事件番号: 昭和34(オ)681 / 裁判年月日: 昭和37年3月1日 / 結論: 棄却
いわゆる刈分小作地が昭和二二年三月頃当事者間の合意によつて、そのうちの約四割を地主の自作地とし残余の部分を数名の「作人」らの小作地とした場合、従前の「作人」で新らたに小作人となつた者によつてなされた右小作地についての遡及買収の申請であつても、許されないものと解すべきである。