判旨
自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく建物の買収には、明文の規定がなくとも、当該建物が売渡農地の利用上必要であることを要する。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく建物の買収において、同項1号のように当該農地の「利用上必要」であるという要件を必要とするか。
規範
自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく買収は、農地の売渡しに附帯して行われるものであるから、同条1項1号のような明文がない場合であっても、当該農地の「利用上必要」でないものまで買収することは同条の趣旨に反する。したがって、従前から居住していた住宅及びその敷地を買収するには、新たに売渡しを受けた農地の耕作に当該建物が必要である等の特別の事情を要する。
重要事実
訴外Dは、本件建物に10年以上居住し農業を続けていた。その後、自作農創設特別措置法に基づき、わずか3畝10余歩の農地の売渡しを受けた。これに附帯して、Dが賃借していた本件建物及びその敷地(本件宅地)について、同法15条1項2号に基づく買収が行われた。これに対し、建物の位置や構造、売渡しを受けた農地の規模から、本件建物が農業用家屋として適当であるか、また農地利用に必要であるかが争点となった。
あてはめ
本件において、Dが売渡しを受けた農地はわずか3畝10余歩に過ぎない。本件建物を必要とする理由は、この小規模な農地を耕作するためというよりは、単にDの生活の場として必要であるに過ぎない。借家人の地位は借家法等による保護を受け得るものであり、わずかな農地の売渡しを受けたことをもって、当然に農業経営上の必要性が認められるわけではない。したがって、本件建物が当該農地の耕作に必要であるという「特別の事情」があるとは認められず、買収の要件を満たさない。
結論
自作農創設特別措置法15条1項2号の買収においても、当該農地の利用上の必要性(従属性)が必要であり、本件ではその必要性が認められないため、買収は相当ではない。
事件番号: 昭和31(オ)48 / 裁判年月日: 昭和33年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」とは、営利の目的を必要とせず、自家用農産物を栽培する場合も含まれる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の所有者であったが、訴外Dが上告人から本件農地を借り受けて耕作していた。DおよびEは、販売目的ではなく自家用農産物の栽培を目的として本件農地…
実務上の射程
行政法における「目的外買収」や「裁量権の逸脱・濫用」を論じる際の参考となる。明文の要件が欠けていても、制度の趣旨(農地売渡しへの附帯性)から論理的に要件(利用上の必要性)を導き出す解釈手法として重要である。
事件番号: 昭和26(オ)903 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく宅地の附帯買収が認められるためには、当該宅地が売渡農地の経営に必要であることが必要である。この「必要」性の判断においては、全農地の経営における売渡農地の重要度や法の目的に照らし、耕作農家の地位安定に適合するか否かを基準とすべきである。 第1 事案の概要:農…
事件番号: 昭和25(オ)335 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
農地の売渡を受けた者が賃借している宅地上に家屋を所有して居住していても、その家屋で飲食業と煙草小売業を営み、しかもその宅地が県道に沿い建物は県道に面して建てられ、その位置、構造、間取り等右営業を営むに適するようにできており、表面は県道に接していてすこしの空地もなく裏側には僅かな庭があるだけで農作物の脱穀、乾燥等をするに…
事件番号: 昭和24(オ)322 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第一五条第一項第二号により宅地を買収するについては、その宅地が売渡農地の附属地として利用せられて来たものであることを要しないが、売渡農地の経営に必要な宅地であることを要する。
事件番号: 昭和28(オ)1358 / 裁判年月日: 昭和30年7月15日 / 結論: 棄却
農地所有者間で交換的に相手方所有農地を耕作している場合、右農地は小作地である。