判旨
法人の不法行為能力を定める旧民法44条1項(現行34条・615条等参照)の解釈について、先行判決の判断を維持し、代表者がその職務を行うについて他人に加えた損害を賠償する責任を肯定する。
問題の所在(論点)
法人の代表者の行為が、法人自身の責任を認めるべき「職務を行うについて」なされたものといえるか。特に、法人の能力の範囲(旧民法43条)と不法行為責任(旧民法44条)の解釈関係が問題となった。
規範
法人の代表者が「その職務を行うについて」他人に損害を加えたときは、法人はその賠償の責任を負う(旧民法44条1項、現行法準用)。この「職務を行うについて」とは、行為の外形からみて代表者の職務の範囲内に属すると認められる行為であれば足り、代表者の主観的な意図や、法人の目的範囲外であるか否かを直接の基準とするものではない。
重要事実
上告人(法人)の代表者が行った行為に関して、民法上の法人の責任(旧民法43条・44条関連)が争われた事案。上告人は、代表者の行為が法人の目的範囲内ではない等の理由から責任を否定すべく上告したが、先行判決(昭和27年2月15日判決)の解釈と異なる主張を展開した。具体的な事実関係の詳細は本判決文からは不明。
あてはめ
最高裁判所は、先行する昭和27年2月15日判決の見解を正当であると認めた。当該見解によれば、職務行為か否かは行為の外形を基準に判断されるべきである。上告人の主張は単なる法令違反の主張に過ぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まないため、代表者の行為に法人の不法行為責任を認めた原審の判断を維持すべきである。
結論
上告棄却。法人の代表者が外形上職務の範囲内と認められる行為によって損害を与えた場合、法人は不法行為責任を負う。
実務上の射程
法人の不法行為責任(民法34条、一般法人法78条等)における「職務を行うについて」の判断基準(外形標準説)を再確認する際に用いる。法人の目的範囲内か否かという能力の問題と、不法行為責任の問題を区別して論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和30(オ)333 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】会社の権利能力の範囲は、定款記載の目的のみならず、その遂行に直接または間接に必要な行為をも含み、その必要性は抽象的客観的な基準によって判断される。 第1 事案の概要:合資会社A製陶所は、ある組合の理事を務めていた。同社は、当該組合または関連する取引に関し、連帯保証契約を締結した。これに対し、会社側…