判旨
農地調整法施行当時において、農地の潰廃(転用)に制限はなく、許可を要することとなったのは昭和16年の臨時農地等管理令施行以降である。したがって、それ以前に宅地化した土地については、同管理令に基づく許可の有無は問題とならない。
問題の所在(論点)
昭和16年の臨時農地等管理令施行前に農地から宅地へ転用された土地について、同管理令に基づく地方長官等の許可の有無が、その転用の効力や法的性質に影響を及ぼすか。
規範
農地の転用(潰廃)に関する法的制限は、昭和13年法律第67号(農地調整法)の施行時点では存在せず、地方長官等の許可が必要となったのは昭和16年勅令第114号(臨時農地等管理令)の施行(同年2月1日)以降である。したがって、同管理令施行前に現況が農地以外に移行した土地については、転用許可の要否を検討する余地はない。
重要事実
本件土地は昭和13年ないし14年頃に埋立工事が完了し、それ以来、現況は宅地として利用されていた。上告人は、当該土地の転用について農地調整法等に基づく許可が必要である旨を主張したが、本件土地が宅地化した時期は昭和16年の臨時農地等管理令施行前であった。
あてはめ
本件土地は昭和13、4年頃に埋立工事が完了し、既に宅地となっている。当時の農地調整法には農地の潰廃を制限する規定はなく、許可制が導入されたのは昭和16年2月1日施行の臨時農地等管理令からである。本件土地が宅地化したのは当該管理令の施行前である以上、許可の有無が問題となる法的根拠が存在しない。よって、許可がないことを理由に転用の効力を否定することはできない。
結論
本件土地の転用について許可の有無は関係なく、現況通り宅地としての法的評価を妨げない。上告棄却。
実務上の射程
事件番号: 昭和50(オ)320 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 破棄差戻
農地法五条の知事の許可を条件とする所有権移転登記請求訴訟において、その土地が現在市街化区域に属し、当事者の主張によつてもその現況が宅地化していることを疑わせる場合には、裁判所は、釈明権を行使して右土地の現況が宅地であるかどうかなどを明らかにさせるべきである。
農地法関連の紛争において、転用時期が古い事案(昭和16年以前)では、現行の農地法やその前身となる許可制度の遡及適用がないことを確認するために活用できる。実務上は極めて限定的な場面での適用となるが、農地の定義や制限の沿革を整理する際の基礎知識となる。
事件番号: 昭和38(オ)1044 / 裁判年月日: 昭和39年6月9日 / 結論: 棄却
農地につき知事の許可なくして為された売買契約でも、その後該農地が適法に宅地化されたときは、そのときから当然効力を生ずると解すべきである。
事件番号: 昭和39(オ)1226 / 裁判年月日: 昭和41年6月30日 / 結論: その他
現況宅地である土地について農地法第三条の知事の許可を条件として所有権移転登記を請求する訴訟が提起された場合には、裁判所は、宅地としての売買による所有権移転登記の請求についてまで前記条件を付する趣旨か否かを釈明して判断するのが相当である。
事件番号: 昭和26(マ)63 / 裁判年月日: 昭和30年9月27日 / 結論: 棄却
農地につき民法上の買戻権を行使する場合には農地調整法第四条による知事の許可を要する。
事件番号: 昭和36(オ)784 / 裁判年月日: 昭和39年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の農地か否かの判定は土地の現状により判断されるべきであり、一部の土地が農地法上の制限を受ける場合であっても、他の土地が山林であり、それのみを取得することで売買の目的を達成できるのであれば、契約の効力は妨げられない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で、本件一(1)(2)の土地を含む…