判旨
農地法上の農地か否かの判定は土地の現状により判断されるべきであり、一部の土地が農地法上の制限を受ける場合であっても、他の土地が山林であり、それのみを取得することで売買の目的を達成できるのであれば、契約の効力は妨げられない。
問題の所在(論点)
売買の対象となった土地が農地法上の「農地」に該当するか否かの判断基準、および一部の土地が非農地(山林)であった場合に、その部分のみの売買を有効と認めることができるか。
規範
土地が農地法2条1項にいう「農地」に該当するか否かは、売買契約当時の客観的な土地の現状によって判断される。また、複数の土地を一括して売買の目的とした場合であっても、一部の土地が農地法上の許可を要する農地であり、他が山林等であるとき、山林等の取得のみをもって売買の目的を達することができるのであれば、その部分の売買は有効に成立する。
重要事実
上告人と被上告人との間で、本件一(1)(2)の土地を含む複数の土地について売買契約が締結された。本件二・三の土地については、当事者の自白等により農地法上の「農地」であることが認められたが、本件一(1)(2)の土地については、買受当時の現状は農地ではなく「山林」であったと認定された。上告人は、農地法上の制限や契約の不可分性を理由に売買の無効等を主張して上告した。
あてはめ
本件一(1)(2)の土地は、契約当時の客観的現状において山林であったことが証拠に基づき認定されている。したがって、農地法2条の農地には該当せず、同法による権利移転の制限は受けない。また、農地である他の土地(本件二・三)とは別に、山林である本件一(1)(2)の土地のみを取得したとしても、被上告人において売買の目的を達することができないとは認められない。ゆえに、農地法の許可の有無にかかわらず、山林部分についての売買の効力は維持される。
結論
本件一(1)(2)の土地は農地法上の農地ではなく、山林部分のみの取得により契約の目的を達し得る以上、同土地に関する売買は有効である。上告を棄却する。
事件番号: 昭和34(オ)642 / 裁判年月日: 昭和35年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の許可を停止条件とする農地の売買契約において、地目が畑であり実態が農地であると認められる場合には、その性質に基づき適法な事実認定がなされるべきである。 第1 事案の概要:被上告人らは、上告人から本件土地を北海道知事の許可を停止条件として買い受けた。本件土地の地目は「畑」であり、原審において…
実務上の射程
土地の属性判断における「現状主義」を再確認するものである。答案上では、農地法上の許可が必要な土地と不要な土地が混在する売買契約において、一部無効(民法115条類推適用)や契約の可分性が問題となる際の判断材料として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)12 / 裁判年月日: 昭和38年10月24日 / 結論: 棄却
県知事の宅地転用許可があり地目変更がなされていても、現況が農地である土地の競落による所有権移転には、農地法第三条による県知事の許可が必要である。
事件番号: 昭和35(オ)604 / 裁判年月日: 昭和38年4月2日 / 結論: 棄却
一、自作農創設特別措置法により政府より売渡を受けた農地でも知事の許可または農地委員会の承認があれば、その所有権を他に移転できる。 ニ、昭和二六年一月二五日に締結された農地売買契約につき、所有権移転の時期を昭和三一年一月二四日とし売買代金額も実際と異つた額が許可申請書に記載されていたとしても、原判示のもとでは、右に対する…
事件番号: 昭和33(オ)596 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政上の許可を要する契約が許可を得ないまま合意解除され、その後に法的規制が撤廃された場合、改めて締結された新契約の効力は、旧契約時の不許可に影響されることなく有効である。 第1 事案の概要:上告人A1と被上告人は、昭和25年5月に土地建物の売買契約を締結したが、当時は外国政府の権利取得に外資委員会…