判旨
自作農創設特別措置法における「農地」に該当するか否かは、登記簿上の地目にかかわらず、土地の現状によって判断すべきであり、一時的な家庭菜園等としての利用があっても直ちに農地とは認められない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法に基づく買収の対象となる「農地」の判定基準、及び宅地として管理されている土地を一時的に菜園として利用している場合の農地該当性が問題となった。
規範
自作農創設特別措置法にいう「農地」に該当するか否かは、公簿上の地目や形式的な分筆登記のいかんを問わず、土地の客観的な現状に即して実質的に判断されるべきである。また、宅地としての実態を有する土地の一部を一時的に菜園として他人に使用させているに過ぎない場合は、その土地の農地性を肯定するには至らない。
重要事実
本件土地(イ、ロ、ハ)は、元々90坪の一筆の宅地であったが、昭和17年頃に公課軽減の目的で、うち12坪を宅地、残部を畑として分割登記された。しかし、土地の現状には変更がなく、整地や家屋新築の準備がなされていた。また、農地委員会の書記が土地分割届を偽造して分筆手続を行うなどの経緯もあった。さらに、当該土地の一部が一時的な菜園として他人に使用されていた事実があった。
あてはめ
本件土地は、形式上は畑として登記されていたものの、実態としては宅地として扱われていた一筆の土地の一部であり、分割登記後も土地の現状に変更はなかった。家屋新築の準備等がなされている客観的状況からすれば、実質的には宅地としての性格を有している。一部を一時的な菜園として他人に貸与していた事実はあるが、これは土地の主たる用途を農地に転換させるものではなく、宅地としての認定を妨げる事情とはいえない。
結論
本件土地は「農地」には当たらず宅地であると認められるため、農地法制に基づく買収処分の前提を欠き、上告を棄却する。
実務上の射程
土地の属性判断における「現状主義」を明確にしたものである。司法試験においては、行政処分や私法上の権利関係の前提として「農地」該当性が争われる際、登記等の形式面ではなく、客観的な利用実態や一時的使用の有無から判断する枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)12 / 裁判年月日: 昭和38年10月24日 / 結論: 棄却
県知事の宅地転用許可があり地目変更がなされていても、現況が農地である土地の競落による所有権移転には、農地法第三条による県知事の許可が必要である。
事件番号: 昭和36(オ)784 / 裁判年月日: 昭和39年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法上の農地か否かの判定は土地の現状により判断されるべきであり、一部の土地が農地法上の制限を受ける場合であっても、他の土地が山林であり、それのみを取得することで売買の目的を達成できるのであれば、契約の効力は妨げられない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で、本件一(1)(2)の土地を含む…
事件番号: 昭和36(オ)106 / 裁判年月日: 昭和37年1月30日 / 結論: 棄却
農地所有者の許しを得てはじめた耕作であつても、その所有者から許可の条件に違反したため爾後耕作を許さない旨の通知があつた後においては、農地法第六条第五項にいう平穏の耕作とはいえない。