判旨
訴訟行為の追完の要件に関し、当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守できなかったといえない場合には、追完は認められない。
問題の所在(論点)
不変期間を遵守できなかったことについて「その責めに帰することができない事由」が認められない場合に、訴訟行為の追完(民事訴訟法92条1項)が許されるか。
規範
不変期間の徒過について、当事者が「その責めに帰することができない事由」によりこれを遵守することができなかった場合に限り、その事由が消滅した後一定期間内に、遅滞した訴訟行為の追完をすることが認められる(民事訴訟法92条1項参照)。
重要事実
上告人は、訴訟行為(具体的な内容は判決文からは不明)について不変期間を遵守できず、事後に追完を申し立てた。原審は、当該不変期間の徒過について、上告人に「その責めに帰することができない事由」があるとは認められないと判断し、追完を許さなかった。これに対し、上告人が特例法に基づく上告を提起した事案である。
あてはめ
最高裁判所は、原審が「訴訟行為の追完を許すべきでない」とした判断を相当と認めた。これは、上告人が主張する事情が、当時の特例法における上告理由(法令の解釈に関する重要な主張等)に該当しないだけでなく、実体的にも期間徒過を正当化する「責めに帰することができない事由」に当たらないと評価されたことを意味する。
結論
訴訟行為の追完は許されない。上告人の主張は上告理由に該当せず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
民訴法92条の「責めに帰することができない事由」の解釈に関する極めて短い判示であるが、実務上は、期間徒過の理由が単なる過失や懈怠に基づく場合には追完が認められないことを再確認する文脈で参照される。答案上は、追完の可否が論点となる際に、規範として同条項を提示した上で、個別具体的事実を「責めに帰することができないか」という観点から評価する際の根拠となる。
事件番号: 昭和29(オ)598 / 裁判年月日: 昭和31年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】占有者が自ら賃貸借契約の成立を主張して占有権原を基礎付けようとした場合において、その事実が認められないときは、当該占有は正当な権原に基づかない不法占有と判断される。 第1 事案の概要:上告人は、昭和26年9月1日以降、本件家屋において料亭を経営し占有していた。上告人は原審において、当該占有は同年8…