指定配給物資の配給手続規定(昭和二二年二月二〇日内閣訓令第三号)第一条は、臨時物資需給調整法第一条に基き主務大臣が統制実施の対象となしうべき物資を指定するにとどまり、統制実施の範囲を指定物資の全部に及ぼすか、その一部にとどめるかは、すべて主務大臣の定めるところによるものとする趣旨と解すべきである。
指定配給物資の配給手続規定(内閣訓令)第一条の配給物資指定の趣旨
判旨
主務大臣が統制の対象を一部に限定した場合、取引目的物が統制対象たる「配給物資」に該当することの立証責任は、統制の存在を主張する当事者が負う。
問題の所在(論点)
主務大臣が統制対象を限定した状況下で、取引目的物が統制対象であることの主張・立証責任は、いずれの当事者が負うか。
規範
臨時物資需給調整法に基づく指定配給物資であっても、主務大臣が省令により統制の範囲を限定した場合には、統制の対象は当該省令で定められた特定の物資に限定される。この場合、ある取引が統制に違反するか否かが争点となる際、目的物が統制対象である「配給物資」に該当するという事実は、統制の存在を前提とした主張を行う当事者が立証責任を負う。
重要事実
指定物資配給手続規程により「酒類」が指定配給物資とされていたが、その後の「酒類配給規則」の改正(昭和24年大蔵省令第59号)により、酒類の配給統制は原則として撤廃され、特定の「配給酒類」のみが統制対象となった。本件酒類取引はこの改正後の期間に行われたものであったが、当該取引の目的物が統制対象である「配給酒類」に該当するか否かが不明であった。
あてはめ
酒類配給規則の改正により、酒類の配給統制は「配給酒類」に限定されることとなった。本件取引時期はこの改正規則の適用下にある。取引目的物が統制対象である「配給酒類」であることについて証拠がない以上、統制下にあること(及びそれによる制限)を主張する当事者に不利益に事実を確定すべきである。したがって、目的物が「配給酒類」であることを証明できない場合は、非統制物資の取引として扱われる。
結論
取引目的物が統制対象である「配給酒類」であることの証明がない場合、統制を主張する当事者が不利益を被るべきであり、本件取引に統制違反は認められない。
実務上の射程
行政法規による私法上の制限が問題となる事案において、規制対象が例外的に限定されている場合には、その限定された対象に該当することの立証責任は制限を主張する側が負うという、立証責任の分配の原則を示す。答案上は、法令の改正によって原則と例外が逆転した際の事実認定の在り方として参照しうる。
事件番号: 昭和31(オ)1071 / 裁判年月日: 昭和35年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法708条の「不法な原因」とは、行為の実質が当時の国民生活や感情に照らし、反道徳的で醜悪な行為として、ひんしゅくを買うほどの強い反社会性を有する場合を指す。単なる統制法規違反の取引は、直ちにこれに該当するものではない。 第1 事案の概要:上告人と相手方との間で生糸の売買取引が行われたが、当該取引…