判旨
上告理由が原判決の証拠取捨や事実認定の非難に帰する場合、それは適法な上告理由とは認められない。
問題の所在(論点)
事実認定や証拠の取捨選択に対する不服申し立てが、適法な上告理由(法律審である最高裁における審理対象)に該当するか。
規範
最高裁判所に対する上告において、民事訴訟法(当時の401条等)が定める適法な上告理由として認められるためには、憲法違反や重大な手続違背等の法的瑕疵を指摘する必要があり、単なる事実認定の不当性や証拠の取捨選択に関する不満を述べるに留まる場合は、上告理由として不適法となる。
重要事実
上告人らは、原判決が行った証拠の取捨、判断、および事実の認定に誤りがあるとして上告を申し立てた。
あてはめ
上告人らの主張は、原判決が適法に行った証拠の取捨や事実認定を一方的に非難するものに過ぎない。これは、法的な解釈の誤りや憲法違反を指摘するものではなく、事実認定に関する評価を争うものであるため、法律審における適法な上告理由としての形式を備えていないといえる。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における上告審(法律審)の性質を端的に示した判決である。答案作成上は、事実認定の誤りそのものを上告理由として構成することはできず、経験則・論理則違反(採証法則違反)等の法的構成が必要であることを裏付ける基礎的な準拠枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和24(オ)78 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の職権の範囲内における適法な証拠の取捨、判断および事実の認定を非難するにとどまる場合、それは適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が行った証拠の取捨、判断および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。判決文からは具体的な事件の背景や原因となった事実関係の詳…