判旨
上告理由が原審の職権の範囲内における適法な証拠の取捨、判断および事実の認定を非難するにとどまる場合、それは適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審が行った証拠の取捨および事実の認定に対する不服が、適法な上告理由(旧民訴法401条、現行民訴法312条等)に該当するか。
規範
事実認定および証拠の取捨選択は、原則として原審の職権に属する事項である。したがって、これらに対する不服申し立ては、憲法違反や判決に影響を及ぼすべき重大な法令違反を伴わない限り、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人は、原審が行った証拠の取捨、判断および事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。判決文からは具体的な事件の背景や原因となった事実関係の詳細は不明である。
あてはめ
上告人が主張する理由は、原審がその職権の範囲内において適法に行った証拠の取捨、判断および事実の認定を論難する(非難する)ことに帰着するものである。これは判決に影響を及ぼすべき法令の違反等を基礎付けるものではなく、事実認定の当否を争うものにすぎないといえる。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
最高裁判所に対する上告において、単なる事実誤認や証拠選択の不当を主張しても、上告受理の要件を満たさないことを示す典型的な判示である。司法試験の答案作成においては、事実認定が原審の専権であることを前提としつつ、それが採証法則違反や論理法則・経験則違反に至る場合にのみ例外的に上告理由となり得ることを理解する際の一助となる。
事件番号: 昭和32(オ)180 / 裁判年月日: 昭和33年7月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告の理由が原審の事実認定や証拠の取捨選択を非難するものにすぎない場合、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背を主張するものとは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が行った証拠の取捨および事実の認定に不服があるとして上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):事実認定の不当を理…