判旨
土地上の地上工作物が、独立した不動産として登記し得る程度の建物とは認められず、かつ当事者間においても建物として認識されていない場合には、当該工作物の所有を目的とする土地賃貸借とは認められない。
問題の所在(論点)
簡易な「堀立小屋」の所有を目的とする土地の利用関係について、建物所有目的の賃貸借(借地法上の借地権)に該当するか。
規範
土地賃貸借が「建物所有を目的とする」もの(借地権)といえるか否かは、当該地上工作物が独立した不動産として登記し得る程度の建物であるかという客観的事態に加え、契約当事者がそれを建物として認識し、家屋税の対象等になることを想定していたかという主観的態様を総合して判断する。
重要事実
上告人の亡夫Dは、本件土地上の堀立小屋を買い取った後、賃貸人Eとの間で土地賃貸借を継続していた。しかし、当該堀立小屋は簡易な地上工作物の程度に留まるものであった。また、D側においても「独立せる不動産として登記し得る建物」とは考えておらず、家屋税の対象となる建物としての申請も要しないと考えていた。さらに、賃貸人Eも同様の認識を有していた。
あてはめ
本件の堀立小屋は、原審が確定した事実によれば、独立した不動産として登記可能な建物とはいえない程度の工作物であった。加えて、当事者双方が「登記可能な建物」や「家屋税の課税対象となる建物」として扱っておらず、主観的にも建物所有の合意があったとは認められない。したがって、Dが堀立小屋を買い取った後も、従前の土地賃貸借が建物所有目的の賃貸借に変更されたとはいえない。
結論
本件賃貸借は建物所有を目的とするものではないため、借地権としての保護は受けられない。
実務上の射程
借地借家法の適用を主張する場面において、「建物」の該当性が争点となる際の判断要素として活用できる。単に物理的な構造だけでなく、当事者の登記や納税に関する主観的認識が、契約目的の解釈に影響を与えることを示唆している。
事件番号: 昭和36(オ)1161 / 裁判年月日: 昭和39年1月23日 / 結論: 破棄差戻
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