判旨
特許出願された発明が、先行する公知の技術(実用新案出願公告にかかる方法)と同一である場合には、新規性を欠くものとして特許を認めないのが相当である。
問題の所在(論点)
本件発明が、先行する実用新案出願公告の内容と同一であるとして新規性を否定した原審の判断に法令違反があるか(特許法における新規性欠如の基準)。
規範
特許法上の新規性の判断において、本件発明の内容が、先行して公告された他者の技術内容(実用新案等の公告公報に記載された内容)と実質的に同一であると認められるときは、新規性を有しないものと判断される。
重要事実
上告人は、自らの発明について特許出願を行ったが、特許庁の審決において、当該発明は昭和23年実用新案出願公告第1357号に記載された方法と同一であると判断され、新規性がないものとされた。上告人は、この審決の取り消しを求めて提訴したが、原審(東京高裁)も審決の判断を是認したため、上告人が最高裁へ上告した事案である。
あてはめ
最高裁は、原審が「本件発明は昭和23年実用新案出願公告第1357号による方法と同一である」として、新規性がないものとした審決を是認した判断を相当とした。上告人が主張する他の先行文献(昭和9年実用新案出願公告第11132号)の引用に関する違法性があったとしても、上記第1357号との同一性により新規性が否定されるという結論には影響を及ぼさないと判断した。
結論
本件発明は先行技術と同一であり、新規性を欠くとした原審の判断は正当であるため、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、新規性の判断において「公告された先行技術との同一性」が認められれば、他の主張が結論に影響しない限り新規性欠如の判断が維持されることを示している。論文答案上は、特許法29条1項各号(新規性)のあてはめにおいて、対比対象となる公知技術との同一性が認定される場合の規範・帰結として参照し得る。
事件番号: 昭和32(オ)987 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和28(オ)512 / 裁判年月日: 昭和30年3月4日 / 結論: 棄却
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