徽章の枠体と裏蓋板とを固着する手段として、枠体の内周にネジ山を設け、裏蓋板の外周にこれと対応するネジ山を設けて両者を螺合する考案は、新規性を有しない。
徽章の枠体と裏蓋板とを固着する手段として両者を螺合する考案の新規性の有無。
旧実用新案法(大正10年法律97号)1条,旧実用新案法(大正10年法律97号)3条2号
判旨
旧実用新案法における審判で新たな拒絶理由を示さずに公報を引用しても手続違背にはならず、また周知の固着手段を周知の目的に転用しただけの考案は進歩性を欠く。
問題の所在(論点)
1.周知の固着手段を代替しただけの考案に進歩性が認められるか。2.審判段階での引用文献の提示が、通知を要する「新たな拒絶の理由」に該当するか。
規範
周知の技術的手段(螺合、溶着、接着等)を、二つの部材を一体に固着するという周知の目的のために必要に応じて採用することは技術上の常識であり、その作用効果の相違が固着方法の差異から当然に生ずる程度にとどまる場合は、進歩性を欠く。また、審判において「拒絶の理由」を通知し意見書の機会を与えるべき(旧特許法72条準用)とされるのは、原拒絶査定で示されなかった新たな拒絶理由に基づき判断する場合に限られる。
重要事実
上告人は、枠体と裏蓋板の固着手段として、枠体内周と裏蓋外周にネジ山を設けて螺合する実用新案登録出願を行った。原査定および審決は、先行技術である接着剤による固着手段と比較し、螺合による変更は周知技術の範囲内であり、奏する効果も予測の範囲内であるとして拒絶した。審決の過程で特定の公報が引用されたが、これが手続上の違法(拒絶理由の通知欠如)にあたるかも争われた。
あてはめ
1.螺合、溶着、接着等は部材を一体化する手段として極めて周知であり、本願考案が接着を螺合に替えた点は、技術上の常識に従い随時採用され得る設計変更にすぎない。また、その作用効果の差も固着方法の違いから当然に生じる程度である。2.審判において公報を引用したとしても、それが原拒絶査定の理由を補足・補強するものであり、実質的に新たな拒絶理由を構成しないのであれば、改めて通知の手続きを要しない。
結論
本願考案は登録要件を具備せず(進歩性欠如)、また審判手続において新たな拒絶理由の通知を欠いたという違法も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
知財法の答案において「設計変更」や「周知技術の付加」を論じる際の規範として活用できる。特に、審判段階で新たな資料が示された際の「拒絶理由の通知」の要否(不利益変更禁止や防御の機会確保)に関する限界事例を示す判例としても重要である。
事件番号: 昭和37(オ)954 / 裁判年月日: 昭和38年11月1日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和28(オ)512 / 裁判年月日: 昭和30年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実用新案法(旧法)に基づく登録対象となるためには、考案が同法1条にいう「新規ノ型ノ工業的考案」に該当することを要し、新規性を欠く考案については登録を受けることができない。 第1 事案の概要:上告人は、自らの考案について実用新案法に基づく登録を求めた。しかし、原審において、当該考案は同法1条に規定さ…