判旨
売買及び買戻の形式がとられた契約であっても、実質が金銭消費貸借債務の担保目的であれば、消費貸借として性質決定される。
問題の所在(論点)
形式上は売買及び買戻として締結された契約について、その実質が債務の担保目的である場合、いかなる契約として性質決定されるか。契約の法的性質の認定基準が問題となる。
規範
当事者が売買及び買戻の形式を選択した場合であっても、その契約の法的性質は、形式的な名称にかかわらず、契約締結の主たる目的や実質的な権利義務関係に基づき判断される。特に、債務の担保を目的として当該形式が採られたにすぎない場合には、実質的な消費貸借契約として解釈すべきである。
重要事実
上告人と相手方との間で、売買及び買戻の形式を用いた契約が締結された。しかし、原審の認定によれば、当該契約は金銭消費貸借に基づく債務を担保することを目的として、便宜上売買等の形式を採ったものであった。
あてはめ
本件契約は、その形式こそ売買及び買戻の態様を採っている。しかし、その実態は消費貸借契約に基づく債務の履行を担保するための手段にすぎない。そうであれば、当事者の真意は売買そのものではなく、債権回収の確保という担保目的にあるといえる。したがって、形式にかかわらず本件を消費貸借と認めた原審の判断は正当である。
結論
本件契約は消費貸借であり、担保目的で売買及び買戻の形式がとられたものにすぎないと解するのが相当である。
実務上の射程
譲渡担保や売渡担保などのいわゆる非典型担保において、契約の性質決定を問う論点で使用する。形式的な契約書の名目よりも、実質的な担保目的の有無を重視して法規律を適用する際の根拠となる。
事件番号: 平成19(受)528 / 裁判年月日: 平成20年2月22日 / 結論: 破棄差戻
1 会社の行為は商行為と推定され,これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと,すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う。 2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,それだけでは当該会社の事業と無関係であることの立証がされたということ…
事件番号: 昭和36(オ)920 / 裁判年月日: 昭和37年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強制執行の便宜のために消費貸借契約に関する公正証書を作成したとしても、直ちに旧債務を消滅させて新債務を成立させる更改の意思表示があったとは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、甲第二号証の消費貸借契約公正証書が作成されたことにより、従来の債務について更改(旧債務の消滅と新債務の成立)があった…
事件番号: 昭和46(オ)1127 / 裁判年月日: 昭和47年9月7日 / 結論: 棄却
売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。
事件番号: 昭和36(オ)463 / 裁判年月日: 昭和38年7月9日 / 結論: 棄却
唯一の証拠方法であつても、それによつて立証しようとする事実の主張がなされていない以上、これを採用しなくても違法でない。
事件番号: 昭和46(オ)188 / 裁判年月日: 昭和46年6月10日 / 結論: 棄却
金銭消費貸借に関し債権者が契約の締結または債務の弁済の費用の名義で受けた金銭であつても、利息とみなされないのは債権者が真実費用として支出したものにかぎられ、利息とみなされることを免れようとする債権者側において、現実にこれを費用として支出した事実を主張立証しなければならない。