金銭消費貸借に関し債権者が契約の締結または債務の弁済の費用の名義で受けた金銭であつても、利息とみなされないのは債権者が真実費用として支出したものにかぎられ、利息とみなされることを免れようとする債権者側において、現実にこれを費用として支出した事実を主張立証しなければならない。
契約締結および債務弁済の費用が利息とみなされないための要件とその主張立証責任
利息制限法5条
判旨
金銭消費貸借において債権者が「費用」の名義で受領した金銭であっても、現実に費用として支出されなかったものは、利息制限法3条により利息とみなされる。
問題の所在(論点)
利息制限法3条(現行6条)に規定される、利息とみなされない「契約の締結及び債務の弁済の費用」の範囲が、実支出のない名目的な費用にも及ぶか。
規範
利息制限法3条(現行6条)の規定により、債権者が受ける元本以外の金銭は名義を問わず利息とみなされるが、契約締結や債務弁済の「費用」は除外される。しかし、ここにいう費用は債権者が「真実支出したもの」に限られる。したがって、費用の名義であっても現実に支出されていない金銭は利息とみなすべきである。
重要事実
上告人(債権者)は、金銭消費貸借契約の際に「費用」の名義で10万円を天引きした。しかし、上告人は原審において、当該10万円を実際に契約締結の費用として支出した事実を主張・立証していなかった。このため、原審は当該10万円を利息とみなして元本への充当計算を行い、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 平成19(受)528 / 裁判年月日: 平成20年2月22日 / 結論: 破棄差戻
1 会社の行為は商行為と推定され,これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと,すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う。 2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,それだけでは当該会社の事業と無関係であることの立証がされたということ…
あてはめ
本件において、上告人は費用名義で10万円を受領しているが、その実支出に関する主張立証を欠いている。利息制限法の脱法を防止する趣旨から、実支出のない金額を費用として除外することは許されない。したがって、現実に費用として支出されていない右10万円は、同法3条に基づき利息とみなされるべきものである。
結論
費用の名義で受領された金銭であっても、現実に支出されていないものは利息とみなされ、利息制限法に基づく引き直し計算(充当計算)の対象となる。
実務上の射程
利息制限法の脱法防止を目的とした判断であり、貸金業者が徴収する「事務手数料」や「調査料」などの名目であっても、その実体的な支出が証明されない限りは利息として扱われる。実務上、債権者側に支出の立証責任を課す重要な指針となる。
事件番号: 昭和59(オ)594 / 裁判年月日: 昭和63年4月8日 / 結論: その他
物上保証人からされた被担保債権の将来の弁済を原因とする抵当権設定登記又はいわゆる仮登記担保権の仮登記の抹消登記手続を求める請求は、将来物上保証人が被担保債権を弁済することを条件としても、認容することができる。
事件番号: 昭和46(オ)1158 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
土地の売買契約において、買主が代金を五年間にわたつて分割支払い、その完済後売主が所有権移転登記をなし、その支払期間中の公租公課を買主が負担する旨約された場合には、右買主の公租公課負担義務は付随義務とはいえず、売主はこの義務不履行を理由に契約を解除することができる。
事件番号: 昭和38(オ)1111 / 裁判年月日: 昭和39年5月23日 / 結論: 棄却
債務額一三七万円の約四・五倍にあたる六〇九万五千円余の価額を有する土地および建物を目的とする代物弁済契約であつても、相手方の窮迫、軽卒に乗じ不当な利益を獲得する目的でしたものと認められない以上、右代物弁済契約は、民法第九〇条により無効であるとはいえない。
事件番号: 昭和63(オ)385 / 裁判年月日: 平成元年9月14日 / 結論: 破棄差戻
協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に二億円余の譲渡所得税が課されることが判明した場合において、右契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなど判示の事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の右…