判旨
民事上告事件の審判の特例に関する法律(当時)に基づき、上告の理由が上告受理の要件を満たさない場合には、本案の判断をすることなく上告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
上告人の主張が、当時の特例法に基づく上告受理要件(憲法違反、重大な判例違反、法令解釈の重要性等)を充たすか。また、形式的に「憲法違反」の文言を用いている場合に、それだけで憲法違反の主張として適法となるか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」に定める要件(1号ないし3号、または法令の解釈に関する重要な主張)に該当しない上告については、適法な上告理由とは認められず、棄却の対象となる。
重要事実
上告人が、原判決に対して最高裁判所に上告を提起した。上告人はその主張において「憲法違反」という用語を使用していたが、具体的な主張内容は実質的な憲法違反の指摘を伴うものではなかった。また、その他の主張についても、特例法が定める上告受理の要件に該当するかどうかが争点となった。
あてはめ
最高裁判所は、上告人の論旨を精査した結果、特例法1号から3号のいずれにも該当しないと判断した。特に、上告人が「憲法違反」という言葉を使用している点については、文言のみに拘泥せず実質的に判断し、実態として憲法違反の主張には当たらないと認定した。さらに、本件は法令の解釈に関する重要な主張を含むものとも認められないと評価した。
結論
本件上告は棄却される。上告人の主張は特例法上の要件を満たさず、適法な上告理由とならない。
実務上の射程
本判決は、形式的な用語(「違憲」等)の使用にかかわらず、最高裁が上告受理の可否を実質的に審査することを示している。答案作成上は、上告理由の適法性を論じる際、形式的な主張の有無だけでなく、その実質が法的な要件(現行法では民訴法312条や318条)を具備しているかを判断する際の準拠となる。
事件番号: 昭和29(オ)435 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、違憲を主張するものであっても実質が単なる訴訟法違反や事実誤認にすぎない場合は、上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の判断に対し、憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その主張の具体的な内容は、原審における手続上…