判旨
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、違憲を主張するものであっても実質が単なる訴訟法違反や事実誤認にすぎない場合は、上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
憲法違反を形式的に主張する場合であっても、その実質が単なる訴訟法違反や事実誤認の主張にすぎないときに、民事上告事件の審判の特例法に基づく適法な上告理由と認められるか。
規範
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律(昭和25年法律第138号)1号ないし3号の各事由に該当せず、かつ、法令の解釈に関する重要な主張を含まない上告は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人は、原審の判断に対し、憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その主張の具体的な内容は、原審における手続上の不備や事実認定の誤りを指摘するものであった。
あてはめ
上告人の主張は、形式的には違憲をいう点があるものの、その実質は単なる訴訟法違反または事実誤認の主張にとどまる。したがって、特例法1号ないし3号のいずれにも該当せず、また、法令の解釈に関する重要な主張を含むものとも認められない。
結論
本件上告は適法な上告理由を備えていないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
形式的な違憲主張があっても、実質的に事実認定の不当性等を争う場合には、最高裁の特例法による門前払いの対象となることを示した判例である。司法試験においては、民事訴訟法上の上告受理申立て制度の運用や、上告理由の形式的具備と実質的内容の峻別を論じる際の基礎資料となる。
事件番号: 昭和28(オ)377 / 裁判年月日: 昭和29年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、原審が認定していない事実を前提とする主張や、適法に行われた事実認定を非難するに過ぎないものであり、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の判断に対して上告を提起したが、その上告理由は原審が認定していない事実を前提とするもの(第…