判旨
臨時宅地賃貸価格修正法に基づく賃貸価格の修正処分は、地代家賃統制令により算出された特定の土地の地代の停止統制額を当然に改訂・変更する効力を有しない。
問題の所在(論点)
臨時宅地賃貸価格修正法に基づく賃貸価格修正処分に、地代家賃統制令によって定められた地代の停止統制額を改訂変更する効力が認められるか。
規範
特定の行政法規(臨時宅地賃貸価格修正法等)に基づく処分が、他の統制法規(地代家賃統制令等)によって設定された公定価格(停止統制額)を改訂する効力を持つためには、当該法規の中にその趣旨を含むものと解すべき規定が存在することを要する。そのような規定がない限り、一方法規に基づく処分が他方法規による価格統制を当然に変更させることはない。
重要事実
地代家賃統制令5条1項および昭和24年物価庁告示368号により、昭和24年5月31日現在の土地台帳記載の賃貸価格を基準として算出された地代の停止統制額が存在していた。一方で、昭和24年法律85号臨時宅地賃貸価格修正法に基づき、土地台帳上の賃貸価格を修正する処分がなされた。上告人らは、この修正処分によって地代の停止統制額も改訂変更されたと主張して争った。
あてはめ
臨時宅地賃貸価格修正法およびその関係法令を通覧しても、地代家賃統制令に基づき算出された特定の土地の地代停止統制額を改訂変更する趣旨を含むものと解せざるを得ない規定は存在しない。したがって、修正法に基づく事務手続上の賃貸価格修正が行われたとしても、それが直ちに私法上の賃料支払義務に影響を及ぼす統制額の改訂という法的効果を生じさせることはない。原審が同趣旨の判断に基づき、上告人らの主張を排斥したことは正当である。
結論
臨時宅地賃貸価格修正法に基づく修正処分は地代の停止統制額を改訂する効力を有しないため、上告を棄却する。
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。
実務上の射程
価格統制が行われていた時代における特殊な判例ではあるが、行政処分(賃貸価格修正)の効力が、別個の独立した統制枠組み(公定価格)に対して当然に波及するわけではないという「法規間の独立性」を示した点に実務上の意義がある。答案上は、法令の文言を超えて処分の反射的効果を広く認めることに対し否定的な態度を示す際の論理構成として参照し得る。
事件番号: 昭和26(オ)70 / 裁判年月日: 昭和27年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が審判の特例に関する法律の各号に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した民事上告事件において、上告理由として主張された内容が、大審院昭和15年10月15日判決等の先例に照らしても適切では…
事件番号: 昭和34(オ)920 / 裁判年月日: 昭和35年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸借契約の解除後に生じた不当利得ないし損害賠償としての賃料相当額の算定において、当事者間に争いのない約定賃料額を基準とすることは適法であり、上告審で初めて主張された統制額等の考慮を欠いたとしても違法ではない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)との間の土地賃貸借契約が解除さ…
事件番号: 昭和26(オ)719 / 裁判年月日: 昭和28年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物収去土地明渡請求が権利の濫用に該当するか否かは、個別の事案における事実関係に基づいて判断される。本件のような事実関係の下では、当該請求が民法1条3項にいう権利の濫用に当たらないことは明白である。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人による本件建物の収去及び土地の明渡請求について争い、その請求が…
事件番号: 昭和33(オ)801 / 裁判年月日: 昭和36年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地権譲渡における賃貸人の黙示的承認の有無について、個別の主張事実を排斥した上でそれらを総合しても承認の事実は認められないとした原判決に違法はない。 第1 事案の概要:上告人は、賃貸人から借地権譲渡について黙示的な承認を得たと主張した。これに対し、原審(控訴審)は上告人が主張した各事実について個別…