判旨
反訴の要件は特別管轄の要件を定めたものにすぎないため、被告が反訴の要件欠缺について異議を述べずに本案の弁論を行った場合には、応訴により反訴は適法となる。
問題の所在(論点)
反訴の要件(本訴の請求又は防御の手法との関連性)を欠く場合であっても、反訴被告が異議なく本案の弁論を行った(応訴した)ことにより、その不適法性が治癒されるか。
規範
民事訴訟法における反訴の要件(旧民訴法239条、現行146条1項)は、反訴を提起する裁判所に特別の管轄権を認める管轄要件としての性質を有する。したがって、反訴被告がその要件の欠陥について異議を述べずに本案の弁論を行い、応訴した場合には、その応訴によって管轄の欠陥は治癒され、反訴は適法に裁判所に係属する。
重要事実
本件において、上告人(反訴被告)は、被上告人(反訴原告)が第一審において提起した反訴に対し、何らの異議を述べることなく直ちに本案の弁論を行って応訴した。その後、上告人は反訴の適法要件について争い、上告を提起した。
あてはめ
上告人は、第一審において提起された反訴に対し、その適法性を争うことなく直ちに本案について弁論を行っている。反訴の要件は管轄権を規定する性質のものであるから、反訴被告が異議なく応訴した以上、法定の要件を厳格に具備しているか否かにかかわらず、応訴によって管轄の合意と同様の効果が生じる。したがって、事実審が行った弁論の併合等の措置は裁量の範囲内であり、適法である。
結論
反訴被告が異議なく本案の弁論を行った場合、反訴の要件を具備するか否かにかかわらず、反訴は適法に提起されたものとみなされる。
実務上の射程
事件番号: 昭和39(オ)204 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
家屋賃貸借契約の解除もしくは解約の申入による賃貸借の終了を主張してその後の賃料相当の損害金を請求する場合には、審理の結果右解除もしくは解約の効力が認められず賃貸借契約が依然として存続しているものと判断されるのであれば、特段の事情のないかぎり賃料請求として右請求を維持するものと解されるから、このような場合に、賃料の支払を…
反訴の関連性要件(146条1項)が、公益的要請に基づくものではなく、反訴被告の便宜や審理の効率化を図るための私益的・管轄的規定であることを示している。答案上は、関連性がない反訴であっても、相手方が異議なく応訴した場合には、訴訟経済の観点から適法となり得る根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(オ)669 / 裁判年月日: 昭和31年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法1条3項の権利濫用の抗弁に関し、原審が認定した事実関係に基づき、当該権利の行使が濫用にあたらないとした判断は正当であり、違憲の主張も実質的には単なる法令解釈の不服にすぎない。 第1 事案の概要:本件において、上告人は相手方の請求に対し権利濫用の抗弁を主張したが、原審は当該事実関係の下でこの抗弁…
事件番号: 昭和34(オ)975 / 裁判年月日: 昭和38年2月21日 / 結論: 棄却
原告の土地明渡請求に対し、被告が第一審において右土地について賃借権を有する旨主張し、同審が右賃借権の存在を肯認した場合に、控訴審において被告が更に反訴として右賃借権存在確認の訴を提起するには、相手方たる原告の同意を要しないものと解するのが相当である。