判旨
最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法(当時)419条の2に基づき、原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、実質的に法令解釈の不当をいうものは不適法である。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告が適法とされるための要件、および憲法違反を名目としつつ実質的に法令違反を主張する抗告の適否(旧民事訴訟法419条の2の解釈)。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に最高裁判所への抗告を許容した場合に限られる。民事事件においては、民事訴訟法419条の2(現行民訴法336条1項参照)に定められた、原決定に憲法解釈の誤りがあることを理由とする特別抗告のみがこれに該当し、通常の法令違反を理由とする抗告は認められない。
重要事実
抗告人は、原審が民事調停法13条および21条に対してなした解釈・適用に誤りがあるとして最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告人はその理由の中で憲法違反を主張していたが、実質的には単なる法令の解釈および適用の不当を訴えるものであった。
あてはめ
最高裁判所に対する抗告申立てには、通常の抗告に関する規定(旧民訴法413条等)は適用されない。本件抗告理由は憲法違反をいうものの、その実質は民事調停法の解釈・適用の非難にすぎない。これは原決定が憲法に適合するか否かの判断を争うという法定の抗告理由には当たらないと評価される。
結論
本件抗告は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
最高裁への特別抗告・許可抗告の場面で、形式的に憲法違反を主張していても、実質が単なる法令違反(評価の不当)であれば不適法却下となることを示す。答案上、特別抗告の要件を検討する際の「理由の不備」を指摘する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(ク)39 / 裁判年月日: 昭和28年3月9日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法判断の不当がある場合に限られ、それ以外の理由による抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人らが、最高裁判所に対して民事事件の抗告を申し立てた事案である。しかし、当該抗告の理由は、原決定における憲法適合性の判断を争うも…
事件番号: 昭和29(ク)53 / 裁判年月日: 昭和29年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、仮処分により保全すべき権利について疎明がないとした原決定を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。その際…
事件番号: 昭和29(ク)42 / 裁判年月日: 昭和29年3月23日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関する裁判権を有するのは、訴訟法上特別に認められた場合に限られ、民事事件においては憲法違反を理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに当たる。最高裁判所への抗告申立てには通常の抗告規定の適用はなく、憲法判断の不当を理由としない抗告は不適法として却下される。 第1 事案…
事件番号: 昭和35(ク)36 / 裁判年月日: 昭和35年2月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法が特別に認めた場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行337条)の特別抗告の要件を満たさないものは不適法となる。 第1 事案の概要:抗告人は、下級審の判断に対し最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人はその理由として憲法違反を主張していたが、その…
事件番号: 昭和26(ク)109 / 裁判年月日: 昭和35年7月6日 / 結論: 破棄差戻
戦時民事特別法第一九条第二項、金銭債務臨時調停法第七条に従い、純然たる訴訟事件についてなされた調停に代わる裁判は、右第七条に違反するばかりでなく、同時に憲法第八二条、第三二条に照らし違憲たるを免れない。