高等裁判所がその決定において示した憲法上の判断が無用のものであるときは、その判断の不当を主張する抗告理由は、特別抗告における適法な違憲の主張とはいえない。
原決定における憲法上の判断が無用なものである場合にその判断の不当を主張する特別抗告理由の適否。
判旨
刑事訴訟法266条1号に基づく付記決定(請求棄却の決定)は、同法420条1項の「訴訟手続に関し判決前にした決定」に該当し、特別抗告を除き不服申し立てをすることはできない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法266条1号に基づく付記決定(検察審査会の議決等を経た付記決定の請求棄却)に対し、通常の抗告による不服申し立てが可能か。同決定が「判決前の決定」として抗告が制限されるか、あるいは独立した不服申し立てが認められるかが問題となる。
規範
刑事訴訟法266条1号による付記決定は、同法420条1項に規定する「訴訟手続に関し判決前にした決定」に該当する。同法に特に即時抗告ができる旨の規定がない限り、同法433条の特別抗告が許される場合を除き、これに対して不服を申し立てることはできない。
重要事実
申立人は、盛岡地方裁判所に対し刑事訴訟法262条1項の付記決定(検察官の不起訴処分に対する不服申し立て)を請求した。これに対し、同裁判所は同法266条1号に基づき、請求には理由がないとして棄却する決定を下した。申立人は、この決定に対して抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法269条は、請求棄却決定の際に生じた手続費用の負担決定についてのみ即時抗告を認めている。この規定の趣旨から逆言すれば、本案である266条1号の決定自体については不服申し立てを認めない趣旨であると解される。また、本件決定は訴訟手続の過程で判決前になされたものであるため、420条1項により原則として抗告ができず、かつ同法に特段の即時抗告規定も存在しない。したがって、法律上の根拠を欠く不服申し立てであるといえる。
事件番号: 昭和28(ク)56 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告(特別抗告)の理由は、憲法適合性に関する判断の不当性に限られ、単なる法令違背や事実誤認を主張することは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、競売物件と抵当物件の同一性の有無、および競売申立てが契約の趣旨や民法等に抵触するか否かについて、原審の判断を争い、最高裁判所に対し…
結論
本件抗告は法律上許されない。付記決定の請求を棄却する決定に対しては、特別抗告を除き不服を申し立てることはできない。
実務上の射程
付記決定(準起訴手続)に関する裁判所の判断に対し、不服申し立ての可否が問われた際のリーディングケースである。答案上は、刑訴法420条の「判決前の決定」の具体例として、また付記決定手続の終結時における不服申立手段の限定(特別抗告のみ)を示す際に引用すべきである。
事件番号: 昭和42(ク)28 / 裁判年月日: 昭和42年3月29日 / 結論: 却下
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、民訴法第四一三条による再抗告は許されない。
事件番号: 昭和25(ク)85 / 裁判年月日: 昭和25年9月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項)が定める特別抗告の場合に限られ、同413条(現行329条3項)に基づく再抗告は認められない。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その申立…
事件番号: 昭和26(ク)7 / 裁判年月日: 昭和26年4月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、原決定における憲法適合性の判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められ、その他の抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告の理由は、原決…
事件番号: 昭和25(ク)16 / 裁判年月日: 昭和25年11月13日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては旧民事訴訟法419条の2(現行336条)所定の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人は最高裁判所に対し抗告を申し立てたが、その抗告理由が憲法適合性に関する判断の不当性を主張するものではなか…