懲戒解雇が必要の程度を超え酷に失し、かつ信義に違背して行われたものと認められる事情(原審判決理由参照)がある場合には、右解雇は、解雇権の濫用として、無効と解すべきである。
懲戒解雇が解雇権の濫用として無効とされる事例
判旨
懲戒解雇処分であっても、事案の具体的状況に照らして客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権の濫用として無効となる。
問題の所在(論点)
使用者が行う懲戒解雇処分について、解雇権の濫用(労働契約法16条、当時の法理としては民法1条3項)が成立するか否か。
規範
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効となる(労働契約法16条参照)。懲戒解雇においても同様に、当該処分の原因となった事由、態様、その他諸般の事情を総合考慮し、解雇権の濫用にあたるか否かを判断すべきである。
重要事実
本件は、使用者が従業員に対して行った懲戒解雇処分の有効性が争われた事案である。原審は、当該懲戒解雇が解雇権の濫用にあたると認定した。上告人は、原審の事実認定に経験則違反や事実誤認があり、解雇権の濫用の判断にも誤りがあると主張して上告した。なお、具体的な懲戒事由や背景事情の詳細については、本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、原審が適法に認定した事実関係を前提とすれば、本件懲戒解雇を解雇権の濫用と認めた法律判断は是認できるとした。具体的には、原審が挙げた証拠に基づく事実認定に経験則違反や誤認は認められず、それらの事実を総合的に考慮した結果、当該解雇は客観的合理性や社会的相当性を欠くものと評価された。したがって、権利の濫用としての評価を免れないと判断される。
結論
本件懲戒解雇は解雇権の濫用にあたり、無効である。
実務上の射程
本判決(日本鋼管事件)は、懲戒解雇においても解雇権濫用法理が適用されることを改めて確認した実務上重要な判例である。答案上は、懲戒事由が就業規則に該当する場合であっても、直ちに有効となるわけではなく、事案の重さに見合った処分かという「相当性」の観点から慎重に検討すべきであることを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和28(オ)392 / 裁判年月日: 昭和30年10月4日 / 結論: 棄却
組合活動として正当と認められる行為が、たまたま他面において共産党細胞活動としての性格をもつていたとしても、かかる組合活動を理由とする解雇は、労働組合法第七条第一号の不当労働行為に当るものと解すべきである。
事件番号: 昭和28(オ)72 / 裁判年月日: 昭和29年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利濫用の成否について、原審が認定した事実に基づき、権利の濫用を認めるべきでないとした原判決の判断を正当として維持したものである。 第1 事案の概要:上告人は、相手方の行為が権利濫用に該当すると主張して上告したが、具体的な事案の内容や原因となった紛争の詳細は本判決文からは不明である。原審(二審)は…
事件番号: 昭和26(ク)114 / 裁判年月日: 昭和27年4月2日 / 結論: その他
一 報道機関が、その従業員を共産党員またはその支持者たることを理由として解雇した場合には、その解雇は、昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官より内閣総理大臣あて書簡による指示に従つたものとして有効である。 二 報道機関が、その従業員を、共産党員またはその支持者たることを理由として解雇した場合には、その解雇の効力に関する…