判旨
正当な労働組合活動を理由とする不当労働行為としての解雇は、憲法28条が団結権を保障する現行法体系下において公序良俗に反し無効である。
問題の所在(論点)
不当労働行為に該当する解雇の私法上の効力。具体的には、正当な組合活動を理由とする解雇が、憲法28条の趣旨に照らして公序良俗に反し無効となるか。
規範
憲法28条は労働者の団結権・団体行動権を正当な範囲において保障している。この保障を前提とする現行法体系下においては、正当な組合活動を理由とした不利益取扱いは公の秩序(民法90条)に反し、私法上の効力も否定される。
重要事実
使用者が労働者に対し、労働組合活動を理由とした解雇(不当労働行為)を行った。これに対し労働者が解雇の無効を主張したところ、使用者は、解雇無効の判断は使用者の財産権(憲法29条)を不当に侵害するものであり、団結権の保障と財産権の保障の権衡を誤っていると主張して上告した。
あてはめ
憲法28条は無条件ではなく正当な範囲で団結権を保障しており、この保障と使用者の財産権との権衡調整は必要である。本件解雇は正当な労働組合活動を理由とする不当労働行為に該当する。かかる解雇は、団結権を保障する現行法体系の根幹に触れるものであり、公の秩序に反すると解するのが相当である。
結論
本件解雇は公序良俗に反し無効である。使用者の財産権を考慮しても、不当労働行為による解雇の無効判断は正当な団結権保障の範囲内であり、憲法に違反しない。
実務上の射程
不当労働行為(労組法7条1号等)に該当する解雇が、私法上も民法90条等により無効となることを示すリーディングケース。答案では、労働基本権の私法上の効力や、解雇権濫用法理の背後にある公序違反の論理として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)1226 / 裁判年月日: 昭和38年6月21日 / 結論: 棄却
従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則条項は、労働基準法第七条の規定の趣旨に反し無効であると解すべきである。
事件番号: 昭和36(テ)41 / 裁判年月日: 昭和37年4月12日 / 結論: 棄却
原判決のいかなる判断が憲法の条項のいかなる点に違反するか具体的に示さない場合は、特別上告理由として不適法である。
事件番号: 昭和25(ク)141 / 裁判年月日: 昭和26年4月4日 / 結論: 棄却
一 憲法第二一条所定の言論、出版その他一切の表現の自由は、公共の福祉に反し得ないばかりでなく、自己の自由意思に基ずく特別な公法関係上又は私法関係上の義務によつて制限を受ける。 二 特別抗告理由は理由書自体に記載すべきであつて、原審抗告理由書の記載を引用することは許されない。