判旨
消滅時効の主張に対し、時効利益の放棄などの抗弁事実は、時効による利益を否定しようとする側が主張・立証すべきである。
問題の所在(論点)
消滅時効の抗弁が提出された場合、時効利益の放棄などの時効完成後の事情について、どちらの当事者が主張・立証責任を負うか。
規範
消滅時効の援用(民法145条)がなされた場合において、時効利益の放棄やその他の時効主張を排斥するに足りる事由は、時効の効力を否定する側が抗弁として主張・立証責任を負う。
重要事実
被上告人(債務者)は、本件債務が昭和15年12月27日の経過をもって時効により消滅したと主張した。これに対し上告人(債権者)は、被上告人による時効利益の放棄があった旨を主張したが、原審においてその事実は証拠上認められないと判断された。
あてはめ
本件では被上告人が時効消滅を主張しているため、これに対抗しようとする上告人側において、時効を妨げる特段の事情(時効利益の放棄等)を主張すべきである。上告人は時効利益の放棄を主張したが、証拠に基づきその存在が否定された以上、時効の効力を覆すことはできない。
結論
時効利益の放棄等の抗弁事実は上告人が主張すべきところ、その立証がなされなかったため、時効消滅の主張を認めた原判決に違法はないとして、上告を棄却した。
実務上の射程
時効の抗弁に対する再抗弁(時効利益の放棄、承認、時効停止等)の主張・立証責任の所在を明確にした判例である。司法試験の答案においては、時効の完成・援用が認められる場面で、その効果を否定しようとする側(債権者側)が主張すべき事実として構成する際の根拠となる。
事件番号: 昭和28(オ)290 / 裁判年月日: 昭和30年2月22日 / 結論: 棄却
利息制限法(旧法)第二条超過の約定利率による遅延利息を債務者が任意に支払つたときは、右超過部分の返還を請求することはできない。
事件番号: 昭和34(オ)912 / 裁判年月日: 昭和35年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準消費貸借契約および抵当権設定契約が虚偽表示等により真実に合致しない場合、その事実認定は下級審の専権に属し、証拠の取捨選択に不合理がなければ上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、準消費貸借契約および抵当権設定契約が締結されたと主張したが、第一審および原審は、提出された証拠(乙第7号各…