利息制限法(旧法)第二条超過の約定利率による遅延利息を債務者が任意に支払つたときは、右超過部分の返還を請求することはできない。
利息制限法超過の約定利率による遅延利息を任意に支払つた場合と返還請求の許否
民法419条1項,利息制限法(旧法)2条
判旨
利息制限法所定の利率を超過する約定利息または遅延損害金であっても、債務者が異議なく任意に支払った場合には、その返還を請求し、または弁済の充当が不当であると主張することはできない。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限利率を超える利息または遅延損害金を、債務者がすでに支払った場合に、その超過部分の返還請求や充当の否認が認められるか。
規範
利息制限法の制限を超える利息の約定は裁判上無効であり、債権者はその支払を請求できない。しかし、債務者が任意に制限超過部分を支払った場合、その返還請求や弁済充当の不当性を主張することは認められない。この理は、弁済期後の遅延損害金についても同様に適用される。
重要事実
債務者(上告人)は、債権者との間で約定された利息制限法を超える利率の金員を、すでに異議なく支払っていた。その後、上告人は当該支払が制限超過であり無効であることを理由に、支払った金員の返還または弁済充当の不当性を主張して争った。なお、支払われた金員が約定利息か遅延損害金であるかは判決文上必ずしも明白ではない。
あてはめ
上告人は、制限利率を超過する利息または遅延損害金を既に支払っている。本件において上告人が支払った金員は、約定利息としてか、あるいは遅延損害金としてかは判然としないが、いずれにせよ「すでに異議なくその支払を了した分」に該当する。したがって、法を超過する利率であっても、任意に授受が完了した以上、返還を求めることはできないと解される。
結論
利息制限法を超える利息や遅延損害金を任意に支払った後は、その返還を請求することはできないため、上告人の主張を排斥した原審の判断は正当である。
実務上の射程
本判決は、利息制限法1条・4条の「任意に支払ったときは、その返還を請求することができない」とする規定(昭和29年当時の旧法下の解釈)を確認したものである。現在では最高裁昭和39年判決以降、制限超過利息は元本に充当され、元本完済後の超過支払分は不当利得として返還請求できるとの判例法理が確立しているため、本判決の法理は現行実務において直接適用される場面は限定的である点に注意を要する。
事件番号: 昭和41(オ)1281 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払つた債務者は、制限超過部分の充当により計算上元本が完済となつたときは、その後に債務の存在しないことを知らないで支払つた金額の返還を請求することができる。
事件番号: 昭和38(オ)237 / 裁判年月日: 昭和40年3月19日 / 結論: 棄却
公正証書には担保物件として土地および建物を供した旨の記載があるのに、その作成を嘱託した委任状には単に建物を供した旨の記載があるにすぎない場合にも、真実該公正証書記載どおりに作成すべき権限を有していたのに土地の記載を脱落したものであることが明らかなときは、右瑕疵は該公正証書の無効をきたす重大なものとは解されない。
事件番号: 昭和32(オ)1186 / 裁判年月日: 昭和33年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和29年法律第100号による利息制限法の施行前になされた損害金の特約は、特段の事情がない限り、裁判所が当然に減額すべきものではない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で、利息を月6分、損害金を月6分以上(日歩20銭ないし30銭)とする金銭消費貸借上の約定がなされた。本件契約は、昭和29年…