判旨
昭和29年法律第100号による利息制限法の施行前になされた損害金の特約は、特段の事情がない限り、裁判所が当然に減額すべきものではない。
問題の所在(論点)
昭和29年法律第100号(現行利息制限法)の施行前になされた高額な損害金特約について、裁判所が当然にこれを公序良俗違反や法意に反するものとして減額すべきか。特に、減額を認めるための要件が問題となる。
規範
旧利息制限法下における損害金の特約については、裁判所において特に損害の補償として不当であると認めるべき「特別の事情」がない限り、その効力を否定し減額をなすべきではない。
重要事実
上告人と被上告人との間で、利息を月6分、損害金を月6分以上(日歩20銭ないし30銭)とする金銭消費貸借上の約定がなされた。本件契約は、昭和29年の利息制限法改正(現行法の原型)よりも前になされたものである。上告人側は、当該損害金の約定が不当に高額であり、利息制限法の解釈を誤った違法があると主張して争った。
あてはめ
本件における損害金の約定(月6分以上)は、当時の取引実態に照らし、直ちに不当とは断じ得ない。また、債務者側において、当該約定が損害の補償として不当であると認めるべき「特別の事情」が存在することについての具体的な主張・立証がなされていない。したがって、裁判所が職権等により当然にこれを減額すべき事由は認められない。
結論
本件損害金の特約は有効であり、特別の事情の主張立証がない以上、減額を認めなかった原審の判断は正当である。
実務上の射程
本判決は、改正利息制限法施行前の事案に関するものであるが、公序良俗や公権的な介入による私契約の修正には「特別の事情」の主張立証が必要であるという基本原則を示している。現在の答案作成においては、利息制限法4条等の定数規定が適用されるため直接の出番は少ないが、制限超過利息や公序良俗違反の主張における立証責任の所在を確認する素材として意義がある。
事件番号: 昭和26(オ)576 / 裁判年月日: 昭和32年9月5日 / 結論: 棄却
消費貸借上の貸主が、借主の窮迫、軽卒もしくは無経験を利用し、著しく過当な利益の獲得を目的としたことが認められない限り、利息が月一割と定められたという一事だけでは、この約定を公序良俗に反するものということはできない。
事件番号: 昭和28(オ)290 / 裁判年月日: 昭和30年2月22日 / 結論: 棄却
利息制限法(旧法)第二条超過の約定利率による遅延利息を債務者が任意に支払つたときは、右超過部分の返還を請求することはできない。
事件番号: 昭和38(オ)237 / 裁判年月日: 昭和40年3月19日 / 結論: 棄却
公正証書には担保物件として土地および建物を供した旨の記載があるのに、その作成を嘱託した委任状には単に建物を供した旨の記載があるにすぎない場合にも、真実該公正証書記載どおりに作成すべき権限を有していたのに土地の記載を脱落したものであることが明らかなときは、右瑕疵は該公正証書の無効をきたす重大なものとは解されない。
事件番号: 昭和32(オ)834 / 裁判年月日: 昭和35年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公正証書に記載された債務額が、その後の合意等により減額された場合であっても、当該公正証書は減額された範囲内において実体的真実に合致し、執行力を保有し続ける。 第1 事案の概要:債務者である上告人らは、講の管理人である被上告人との間で、掛戻金76万8000円について公正証書を作成した。その後、諸般の…