利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払つた債務者は、制限超過部分の充当により計算上元本が完済となつたときは、その後に債務の存在しないことを知らないで支払つた金額の返還を請求することができる。
債務者が利息制限法所定の制限をこえる利息・損害金を任意に支払つた場合における超過部分の充当による元本完済後の支払額の返還請求の許否
利息制限法1条,利息制限法4条,民法705条
判旨
利息制限法の制限を超える支払がなされた場合、その超過部分は残存元本に充当され、元本完済後に支払われた金額については、民法の規定により不当利得返還請求が可能である。
問題の所在(論点)
利息制限法の制限を超える利息・損害金の任意支払がある場合、超過部分は元本に充当されるか。また、元本完済後に支払われた金額について、不当利得返還請求(民法703条)が可能か。利息制限法1条2項(現行1条)等の返還請求禁止規定との関係が問題となる。
規範
1. 債務者が利息制限法の制限を超える利息・損害金を任意に支払ったときは、制限超過部分は、民法491条(現行489条)により残存元本に当然に充当される。 2. 利息制限法1条2項・4条2項の返還請求禁止規定は、元本債権の存在を前提とする。したがって、計算上元本が完済となった後の支払金については、同法の適用はなく、民法703条の不当利得の規定に基づき、その返還を請求できる。
重要事実
亡Dは、上告人に対する金銭消費貸借債務につき、利息制限法所定の利率を超える利息等を任意に支払っていた。この超過部分を元本に充当して計算すると、既に貸金元本は完済されていた。しかし、Dは完済後も継続して金銭を支払っており、支払当時に債務が存在しないことを知っていたとは認められなかった。Dの相続人は、上告人に対し、完済後の支払額について不当利得返還請求を提起した。
あてはめ
まず、債務者が支払った制限超過利息等は残存元本に充当されるべきである。本件において、Dの支払った超過分を元本に充当計算すると、上告人の貸金債権は既に完済により消滅している。元本消滅後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われた「非債弁済」に他ならない。利息制限法の返還禁止規定は元本が存在する場合の規定であるため、完済後の支払については同法の適用を受けず、民法の一般原則に従い不当利得となる。Dは支払当時、債務の不存在を知らなかったため、返還請求が認められる。
結論
元本完済後に支払われた金額について、不当利得返還請求を認めた原審の判断は正当であり、返還を求めることができる。
実務上の射程
利息制限法による引き直し計算(充当)と、元本完済後の過払金返還請求の法的根拠を確立したリーディングケースである。答案上は、制限超過利息が当然に元本に充当されること(当然充当説)、および完済後の不当利得請求権の発生根拠として引用する。
事件番号: 昭和28(オ)290 / 裁判年月日: 昭和30年2月22日 / 結論: 棄却
利息制限法(旧法)第二条超過の約定利率による遅延利息を債務者が任意に支払つたときは、右超過部分の返還を請求することはできない。
事件番号: 平成16(オ)424 / 裁判年月日: 平成16年7月9日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が貸金の弁済を受けてから7ないし10日以上後に債務者に領収書を交付したとしても,貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用要件である同法18条1項所定の事項を記載した書面の弁済直後における交付がされたものとみることはできない。