判旨
建物賃貸借において、その契約が一時使用を目的とするものであると認められる場合には、借地借家法(旧借家法)の更新拒絶に関する正当事由等の規定は適用されない。
問題の所在(論点)
本件建物賃貸借が一時使用を目的とするもの(旧借家法6条、現行借地借家法40条参照)と認められる場合において、更新拒絶に関する制限(正当事由の具備等)を検討する必要があるか。
規範
建物賃貸借契約が一時使用を目的とするものであると認められる場合、借家法の更新の制限や解約の申入れに関する規定は適用されない。その判断は、賃貸借の目的、期間、賃料その他の諸事情を総合考慮して決せられる。
重要事実
上告人(賃借人)と被上告人(賃受人)との間において、建物の賃貸借契約が締結されていたが、原審はその成立経緯や判示の諸事情を考慮し、本件を一時使用のための賃貸借であると認定した(なお、具体的な期間や建物の種類、一時使用と判断された決定的な事実関係の詳細は本判決文からは不明)。
あてはめ
原判決は判示のような事情を伴った一時使用の賃貸借を認めている。一時使用目的の賃貸借であると解される以上、更新拒絶に関する法令の制限(正当事由の有無等)について検討する余地はなく、それに関する主張は失当であるといえる。
結論
本件は一時使用目的の賃貸借であるため、更新拒絶に関する制限の適用はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
一時使用目的の建物賃貸借(借地借家法40条)と認定された場合、普通借家権としての更新保障が排除されることを再確認する事例である。実務上は、認定の基礎となる『客観的・合理的理由』が重要となるが、本判決は認定がある場合の法効果を端的に示している。
事件番号: 昭和26(オ)257 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地法(旧農地調整法)上の「一時賃貸借」に該当する場合、賃貸借の解約等について知事の許可を要せず、便宜的になされた許可における正当事由の有無も問題とならない。 第1 事案の概要:農地の賃借人と賃貸人の間において、当該賃貸借契約が一時的なものであると認定された事案。知事は便宜的に当該賃貸借に関する許…
事件番号: 昭和30(オ)417 / 裁判年月日: 昭和31年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁が一度行った農地賃貸借解約許可処分は、当該許可に基づき解約の申入れがなされ、既に解約の効力が生じている場合には、私法上の形成効果が確定しているため、もはや行政庁においてこれを取り消すことはできない。 第1 事案の概要:上告人は農地法(旧農地調整法)に基づき、知事から農地賃貸借の解約許可を受け…
事件番号: 昭和26(オ)384 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: 棄却
昭和二二年法律第二四〇号による農地調整法改正前においては、農地賃貸借の合意解約について、同法第九条第三項による知事の許可を要しない。