判旨
控訴審における訴えの変更(請求原因の追加)が認められるためには、従前の請求とその基礎を同じくし、かつ、著しく訴訟手続を遅延させないことが必要である。
問題の所在(論点)
控訴審における請求原因の追加(訴えの変更)が認められるための要件とその判断基準が問題となる。
規範
訴えの変更(民事訴訟法143条1項、控訴審については同法297条)が許容されるためには、①「請求の基礎に変更がない」こと、および②「著しく訴訟を遅延させない」ことが必要である。特に控訴審における追加的変更については、従前の審理の結果を活かせる範囲内であることを要する。
重要事実
上告人らが相手方に対して提起した訴訟において、控訴審段階で請求原因の追加が行われた。原審は、この追加が従前の請求とその基礎が同じであり、かつ特に著しい訴訟の遅延を来すものではないと判断して、当該追加を許容した。これに対し上告人側が、当該手続の適否を争って上告したものである。
あてはめ
本件における請求原因の追加は、従前の請求とその基礎を共通にするものであると認められる。また、控訴審での追加であっても、これにより審理が大幅に滞り、特に著しい訴訟の遅延を招くような事情も認められない。したがって、法が定める訴えの変更の要件(旧法における「請求の基礎に変更がない」かつ「著しく訴訟を遅延させない」ことに相当する要件)を充たしていると評価される。
結論
控訴審における請求原因の追加は適法であり、これを認めた原判決の判断は相当であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
控訴審での訴えの変更について、現行法143条1項ただし書(および297条)の要件を具体的に示した初期の判例である。答案上は、第1審の審理結果が流用可能であるかという観点から「請求の基礎の同一性」や「訴訟遅延の有無」を検討する際の根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和27(オ)163 / 裁判年月日: 昭和29年5月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で追加された請求が、元の請求と請求原因を全く異にし、かつ元の請求の当否を判断する先決関係にもない場合、それは訴の変更に該当する。その変更が訴訟手続を遅延させると認められるときは、裁判所はこれを許容しないことができる。 第1 事案の概要:上告人は第一審において、対象土地の所有権確認および移転登…
事件番号: 昭和28(オ)324 / 裁判年月日: 昭和30年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法580条2項に基づき、買戻しの期間を定めた場合には、後日合意によってこれを伸長することはできない。 第1 事案の概要:上告人は、買戻しの期間を定めた契約について、その後に当事者間の合意によって期間を伸長したと主張し、当該伸長後の期間内における買戻しの有効性を争った。これに対し、原審は買戻期間の…
事件番号: 昭和29(オ)559 / 裁判年月日: 昭和30年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所有権に基づく物権的請求において、請求原因は原告が所有権を有する事実自体であり、その取得原因は攻撃方法としての主張にすぎない。したがって、第一審の売買から控訴審での売渡担保契約への取得原因の変更は、訴えの変更(請求原因の変更)には当たらず、弁論主義の範囲内の主張の変更として許容される。 第1 事案…