判旨
民法580条2項に基づき、買戻しの期間を定めた場合には、後日合意によってこれを伸長することはできない。
問題の所在(論点)
民法580条2項の「買戻しの期間を定めたときは、後にこれを伸長することができない」という規定の解釈、および当事者間の合意による期間伸長の可否が問題となった。
規範
買戻しの期間について合意により定めた場合、民法580条2項の規定により、後日その期間を伸長することは認められない(同条1項の最長10年という制限とは別に、一旦定めた期間の更新・伸長を禁止する趣旨である)。
重要事実
上告人は、買戻しの期間を定めた契約について、その後に当事者間の合意によって期間を伸長したと主張し、当該伸長後の期間内における買戻しの有効性を争った。これに対し、原審は買戻期間の伸長は認められないと判断したため、上告人が判例違反等を理由に上告した事案である。
あてはめ
民法580条2項は、買戻しという不安定な権利関係が長期に及ぶことを防ぎ、不動産取引の安全を図る趣旨の強行規定と解される。本件において、上告人は期間伸長の有効性を主張するが、同条項に照らせば、特約によって一度定めた買戻期間を事後的に延長することは法的に不可能である。上告人が引用した大正11年の判例は「短縮」を認めたものであり、明治31年の判例は民法施行前のものであるため、いずれも「伸長」を制限する本件の判断を左右するものではない。
結論
買戻期間を定めた場合、後日これを伸長することはできないため、伸長を前提とした上告人の主張は認められない。
実務上の射程
本判決は、買戻権の行使期間に関する民法580条2項の規定が強行規定であることを確認するものである。答案上は、不動産売買における買戻特約の期間制限を論じる際、合意による延長が無効であることを示す根拠として活用する。なお、期間を「短縮」することは本判決の対象外であり、別途有効と解されている点に注意を要する。
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