判旨
賃貸借契約が「一時使用のためにすること」が明らかであるか否かの判断は、原審が認定した諸事実に基づき、その客観的な性質によって決せられるべきである。
問題の所在(論点)
借家権の保護が及ばない一時使用目的の賃貸借(旧借家法6条、現行借地借家法40条)と認められるための判断枠組み。
規範
借地借家法(旧借家法)の適用除外となる「一時使用のためにした賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、期間、賃貸借に至る経緯、当事者の意図等の諸事情を総合考慮し、客観的・合理的に判断される。
重要事実
本判決(最一小判昭28・6・11)の文面からは具体的な事実は不明であるが、原審において本件賃貸借が一時使用目的であると認定された事実関係が存在し、上告人がその事実誤認等を主張して争っていた。
あてはめ
原審が認定した具体的な事実関係(詳細は本判決文からは不明)に基づき、本件賃貸借が一時使用のためにするものであるとした判断を、最高裁は相当であると是認した。上告人の主張は、単なる事実誤認や法令違反の主張に過ぎないとされた。
結論
本件賃貸借は、一時使用のためにすること。が明らかであると認められ、借家法の適用が除外される。
実務上の射程
一時使用目的の存否は、当事者の主観的意図のみならず、客観的状況から判断されるべきことを示唆する。答案上は、期間の定めの有無、建物の用途、賃料の多寡等の具体的事実を拾い、借家法による強行法規的保護を与える必要性の有無を論証する際に活用する。
事件番号: 昭和36(オ)378 / 裁判年月日: 昭和37年2月16日 / 結論: 棄却
経済的変動により賃料額が不相当となつたときは、協定のうえこれを増減することができるし、期間を更新することもできる旨の約款があつても、その賃貸借を一時使用のためのものと認定できないことはない。
事件番号: 昭和30(オ)698 / 裁判年月日: 昭和32年11月15日 / 結論: 棄却
都市計画実施のために先代以来の営業場所から立退を求められた者が、附近の宅地を移転先に充てるため、地上に工場を所有する借地人において近くその明渡をなす約束であるとの地主の言を信じてこれを買い受けたところ、期限到来の後も明渡を受け得られず自らは立退を迫られた末、借地人を相手方とする土地明渡の調停事件において、右宅地の必要性…
事件番号: 昭和32(オ)624 / 裁判年月日: 昭和34年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現・借地借家法)の適用を排除する「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、期間、地上建物の種類、賃貸借成立の経緯等の諸客観的事実に基づき、総合的に判断される。 第1 事案の概要:昭和20年末頃、Dと上告人Aとの間で土地27坪2合について、土蔵の使用貸借と併せて一時使用の賃貸…
事件番号: 昭和28(オ)393 / 裁判年月日: 昭和30年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】戦時罹災土地物件令に基づく賃借権者が、後に同一土地について一時使用の賃貸借契約を締結した場合、特段の事情がない限り、先行する物件令上の賃借権を放棄したものと認められる。 第1 事案の概要:上告人(関)は、戦時罹災土地物件令(物件令)4条1項に基づき、本件土地の一部について賃借権を取得していた。しか…
事件番号: 昭和40(オ)551 / 裁判年月日: 昭和42年3月16日 / 結論: 棄却
神社の境内地を終戦直後に区画整理施行日までを期限としてマーケツト建設のため賃貸した場合には、権利金代りの寄付をうけ、中途賃料の増額が行われたとしても借地法第九条にいう「一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明ナル場合」にあたる。