神社の境内地を終戦直後に区画整理施行日までを期限としてマーケツト建設のため賃貸した場合には、権利金代りの寄付をうけ、中途賃料の増額が行われたとしても借地法第九条にいう「一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明ナル場合」にあたる。
一時使用の借地権を認められた事例
借地法9条
判旨
一時使用目的の借地権(借地地代家賃統制令や借地法9条等)の成否は、契約の動機、目的、期間、地上建物の種類等の諸客観的事情を総合考慮して判断される。区画整理完了時までという終期設定があり、一時的使用の客観的事実が認められる場合には、権利金代わりの寄附や賃料増額があっても一時使用目的が否定されるものではない。
問題の所在(論点)
区画整理完了時までという期間の定めがある土地賃貸借において、権利金の支払や賃料増額の事実がある場合でも、借地法9条の「一時使用」に該当するか。
規範
借地法9条(現・借地借家法25条)にいう「一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合」に該当するか否かは、借地権設定の動機、目的、地上建物の種類、構造、存続期間の約定その他諸般の客観的な事情を総合的に考慮して判断すべきである。特に、返還すべき時期が特定の客観的事象(区画整理の完了等)と結びついており、かつその期間が相当であるなど、将来における土地利用の確定的な計画と密接に関連している場合には、一時使用の目的が認められやすい。
重要事実
本件土地賃貸借契約は、昭和21年12月31日から「区画整理施行日まで」を期間として締結された。賃借人側は、権利金代わりの寄附金を支払い、かつ賃料の増額が行われていた事実を根拠に、本件が一時使用目的ではなく通常の借地権(借地法9条の適用外)であると主張して争った。
事件番号: 昭和36(オ)43 / 裁判年月日: 昭和36年7月6日 / 結論: 棄却
土地所有者が仮設建築物を所有して土地を不法占有する者を相手方として土地明渡の調停を申立てたところ、その建物の居住者が利害関係人として期日に出頭し、なお居住者が多数あることが判明したので、事態の解決を計るため、調停外において右居住者中の有力者一名と期間を一〇年とする土地賃貸借契約を結び、一〇年後には必ず返地することを確約…
あてはめ
本件契約は、区画整理施行日までという明確な終期が設定されており、一時的な使用を前提としていた。権利金に準ずる寄附金の支払や、その後の賃料増額といった事実は、一般には賃貸借の継続性を推認させる要素となり得るが、本件においては、区画整理という将来の確定的な土地利用計画に基づく一時的使用という客観的事実を覆すに足りるものではない。したがって、契約の主目的は依然として一時的な利用に限定されていたと評価できる。
結論
本件賃貸借契約は一時使用のためのものであるとした原審の判断は正当である。権利金の寄附や賃料増額があっても、一時使用目的の認定は左右されない。
実務上の射程
借地借家法25条の「一時使用」の該当性を判断する際、区画整理や再開発等の具体的計画が存在することは強力な認定材料となる。本判決は、金銭的対価(権利金的性質の金員)の授受があっても、客観的な利用態様や期間設定から一時使用性が認められ得ることを示しており、実務上、一時使用借地の成否を争う際の考慮要素の優先順位を判断する指標となる。
事件番号: 昭和41(オ)1259 / 裁判年月日: 昭和42年2月24日 / 結論: 棄却
賃料が数次にわたつて値上げされたことや賃料が当該借地の固定資産税を上廻つていることは、一時使用のための賃貸借契約であると認定するについて妨げとなるものではない。
事件番号: 昭和36(オ)378 / 裁判年月日: 昭和37年2月16日 / 結論: 棄却
経済的変動により賃料額が不相当となつたときは、協定のうえこれを増減することができるし、期間を更新することもできる旨の約款があつても、その賃貸借を一時使用のためのものと認定できないことはない。
事件番号: 昭和43(オ)52 / 裁判年月日: 昭和43年11月19日 / 結論: 棄却
一時使用の目的で賃借した土地上に建築された仮設建物を買い受けるとともに賃貸人の承諾なしに賃借権の譲渡を受けた者との間で、賃貸人が土地の一部を右譲受人に売却し、他を明け渡す旨の約束ができたが、譲受人が代金を払わないため右売買契約が解除され、そのため右土地の明渡について話合がされ、結局一〇年の賃貸借契約が締結されるに至つた…
事件番号: 昭和31(オ)952 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法の適用を排除する「一時使用目的の借地権」に該当するか否かは、契約期間の長短のみならず、土地の性格、賃貸借の目的、更新の経緯等の諸事情を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:上告人Aは、鉄道用地(本件土地)を1年の約定で賃借した。期間経過後も継続使用を希望したため、被上告人は急ぎの…