判旨
借地法(現・借地借家法)の適用を排除する「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、期間、地上建物の種類、賃貸借成立の経緯等の諸客観的事実に基づき、総合的に判断される。
問題の所在(論点)
特定の土地賃貸借契約が、旧借地法(現・借地借家法25条)にいう「一時使用のために借地権を設定したことが明らかである場合」に該当するか否かの判断基準が問題となった。
規範
「一時使用のために借地権を設定したことが明らかである場合」(借地借家法25条、旧借地法9条)に該当するかは、単に契約書上の文言のみによるのではなく、賃貸借の目的、期間の定め、建物の種類・構造、賃貸借成立に至る諸般の事情等の客観的事実を総合考慮して、短期間に限って利用させる趣旨であったか否かによって判断する。
重要事実
昭和20年末頃、Dと上告人Aとの間で土地27坪2合について、土蔵の使用貸借と併せて一時使用の賃貸借契約が成立した。その後、被上告人が土地及び土蔵の所有権を取得し貸主の地位を承継。昭和22年頃に使用土地を約50坪に増資したが、昭和24年2月末日の経過により期間が満了したとされる事案である。上告人側は、一時使用とは別に通常の賃貸借契約が成立したと主張して争った。
あてはめ
原審は、本件契約が一時使用を目的とするものであると断じるにあたり、所論の点だけでなく、原判決が掲げる一から三の各事実(具体的な事実内容は判決文からは不明)を総合的に考慮して判断している。昭和20年の契約成立当初から一時使用の合意があり、その後の面積変更等を経てもその性質は維持され、昭和24年の期間満了により契約は終了したと認定される。この判断プロセスは、諸客観的事実に基づく合理的な認定であり、正当である。
結論
本件賃貸借は一時使用のためのものであると認められ、借地法の適用は受けないため、期間満了による終了が認められる。
事件番号: 昭和32(オ)569 / 裁判年月日: 昭和34年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行の借地借家法25条相当)にいう「建物所有を目的とする賃貸借」に該当しないか、あるいは「一時使用のための借地権」と認められる場合には、存続期間に関する法定の制限を受けず、約定期間の満了により賃貸借が終了する。 第1 事案の概要:本件賃貸借契約において、当事者は約定の期間満了による契約終了…
実務上の射程
借地借家法25条(一時使用目的の借地権)の該当性をめぐる事実認定の枠組みを示す。答案上は、賃貸借の目的(工事用仮設事務所等)、建物の堅固性、期間の短さ、賃料の多寡等の具体的事実を拾い、それらが「一時使用」という目的と整合するかを論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)952 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法の適用を排除する「一時使用目的の借地権」に該当するか否かは、契約期間の長短のみならず、土地の性格、賃貸借の目的、更新の経緯等の諸事情を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:上告人Aは、鉄道用地(本件土地)を1年の約定で賃借した。期間経過後も継続使用を希望したため、被上告人は急ぎの…
事件番号: 昭和34(オ)879 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地および建物の賃貸借が、借地法(現借地借家法25条)および借家法(現借地借家法40条)にいう「一時使用」にあたるかは、賃貸借成立の経緯、使用目的、建物の規模構造、期間の定めおよびその理由等を総合考慮して判断すべきである。 第1 事案の概要:土地および土蔵の賃貸借契約において、賃貸期間が短期に定め…
事件番号: 昭和33(オ)874 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法(旧借地法)の適用を排除する「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、賃貸借の期間、建物の種類、その他諸般の事情を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で本件宅地の賃貸借契約が締結された。原審は、当該契約がなされた背景、建物の利用目的、およ…
事件番号: 昭和33(オ)685 / 裁判年月日: 昭和34年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法の適用を排除する「一時使用のための借地権」に該当するか否かは、賃貸借の目的、期間、建物設備の種類、賃貸借成立の経緯等を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)と被上告人(賃主)との間で本件土地の賃貸借契約が締結された。原審(東京高判昭33・3・25)によれば、契約…