判旨
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、法令の解釈に関する重要な主張を含まず、かつ具体的判例の指摘がない判例違反の主張は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
民事上告事件において、具体的な判例を掲げない判例違反の主張や、実質的に訴訟法違反に過ぎない憲法違反の主張が、適法な上告理由として認められるか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」に規定される上告理由(1号から3号)のいずれにも該当せず、かつ「法令の解釈に関する重要な主張」を含まない場合は、上告を棄却すべきである。また、判例違反を主張する際には、具体的に判例を掲げることが適法な主張の要件となる。
重要事実
上告人らが、原審の判断に対し憲法違反および判例違反を理由として上告を申し立てた事案。上告人らは憲法違反を主張していたが、その実質は訴訟法違反の主張に留まるものであった。また、判例違反については、具体的な判例の特定を欠いていた。
あてはめ
上告人の主張する憲法違反は、その実質において単なる訴訟法違反の主張に帰着し、真に憲法問題を含むものとは認められない。さらに、判例違反の主張については、依拠すべき具体的な判例を摘示していないため、不適法な主張と言わざるを得ない。したがって、本件上告は特例法上の上告理由のいずれにも該当しない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
最高裁への上告理由の形式的要件(具体的判例の特定)および実質的要件(単なる訴訟法違反を憲法違反にすり替えないこと)を確認する判例であり、上告受理申立てや上告理由書の適法性を検討する際の基礎的な作法を示すものである。
事件番号: 昭和28(オ)371 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が具体的でなく、単に採証法則の誤りや経験則違反等を抽象的に主張するに過ぎない場合は、適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決には「採証の法則を誤り且経験則に反し事実を認定したる違法あり又理由に齟齬あり」として上告を提起した。しかし、上告代理人の主張は、具体的にど…