判旨
対抗要件を備えた土地賃借人は、賃借権に基づき、土地を不法に占有する第三者に対して直接妨害排除請求をすることができる。
問題の所在(論点)
対抗要件を備えた不動産賃借権に基づき、賃借人が第三者に対して直接に妨害排除請求権を行使することができるか。
規範
第三者に対抗することのできる土地賃借権を有する者は、賃借権自体の効力として、直接第三者に対し妨害の排除を求めることができる。
重要事実
本件において上告人は土地賃借人であり、その賃借権について第三者に対する対抗要件を備えていた。当該土地を不法に占有・妨害する第三者(被上告人側)に対し、賃借権に基づく直接の妨害排除請求を認めるか否かが争点となった。
あてはめ
賃借権は債権であるが、対抗要件を具備することによって、第三者に対してもその存在を主張し得る「物権的性質(物権化)」を帯びるに至る。したがって、対抗要件を備えた土地賃借権は、不法占有者等の第三者による侵害に対し、賃貸人の権利を代位行使(民法423条)するまでもなく、賃借権そのものの効力として直接に排除を求めることができると解される。
結論
対抗要件を備えた賃借人は、直接の妨害排除請求が可能である。よって本件上告は棄却される。
実務上の射程
対抗要件(登記や借地借家法10条1項、31条1項の要件)の具備が前提となる。未登記・未対抗の賃借権の場合は、依然として占有保持の訴えや債権者代位権の活用が必要となる点に注意する。答案では「対抗要件を具備した賃借権の物権的効力」として論じる際に不可欠な判例である。
事件番号: 昭和27(オ)291 / 裁判年月日: 昭和30年3月17日 / 結論: 棄却
賃借している土地が、昭和二〇年勅令第六三六号土地工作物使用令第一一条によつて進駐車が接収使用中のものであつても、賃借人は賃貸借の登記があるか、またはその土地の上に登記した建物を有しない限り、その賃借権をもつて土地の新取得者に対抗できない。