判旨
当事者が死亡しても訴訟代理人がある場合は訴訟手続は中断せず、その場合でも当事者は訴訟承継の事実を明かにするための受継申立てをすることができる。
問題の所在(論点)
訴訟代理人が選任されている当事者が死亡した場合、訴訟手続は中断するか。また、中断しない場合に相続人が行う「受継申立て」はどのような性質を有するか。
規範
当事者の死亡による訴訟手続の中断(民事訴訟法124条1項1号)は、当該当事者に訴訟代理人がある場合には適用されない。この場合、中断が生じないため裁判所による受継決定(同法128条2項)を要しないが、当事者は訴訟承継の事実を明確にするための申立てを行うことが可能である。
重要事実
第一審で勝訴した被控訴人Dには訴訟代理人Eが選任されていたが、控訴審係属中にDが死亡した。Dの相続人ら(被上告人ら3名)は、Dの死亡後、原審において「受継申立」と題する書面を提出した。原判決は、この相続の事実について上告人らが自白したものとして、被上告人らへの訴訟承継を前提とした判決を言い渡した。これに対し上告人らは、受継の裁判がなされていないことや承継関係の明示がないことを理由に上告した。
あてはめ
Dには訴訟代理人Eが存在したため、Dの死亡によっても訴訟手続は中断しない(民法上の代理権消滅の例外)。したがって、法的に「中断」が発生していない以上、裁判所による受継の裁判を行う必要はない。もっとも、相続人らが提出した「受継申立」書面は、手続が中断していない状況下であっても、訴訟承継の事実(相続関係)を裁判所および相手方に明らかにするための申立てとして有効に受理し得る。本件では、相続の事実に争いがない以上、承継関係の表示に不備があっても判決を破棄すべき理由にはならない。
結論
訴訟代理人がいる場合、死亡による中断は生じない。中断がない場合でもなされた受継申立ては、承継の事実を明らかにする趣旨の申立てとして有効である。
実務上の射程
訴訟代理人のある当事者が死亡した場合の処理を明示した重要判例。実務上は「受継申立て」として扱われるが、理論的には中断がないため、単なる「当事者表示変更」に近い性質を持つことを答案上も意識すべきである。
事件番号: 昭和26(オ)502 / 裁判年月日: 昭和30年5月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者の死亡により訴訟手続が中断すべき場合であっても、相続人が訴訟の係属を覚知しており、実質的な相続人の意思に基づいて選任された代理人によって和解がなされたときは、当該和解は有効である。 第1 事案の概要:家屋明渡請求事件の原告Dが、出征中に死亡した。Dには未成年者の相続人Bがおり、その親権者Eが…
事件番号: 昭和32(オ)563 / 裁判年月日: 昭和33年9月19日 / 結論: 棄却
被相続人の訴訟代理人であつた者は、被相続人の死亡による訴訟承継の結果、新たに当事者となつた相続人の訴訟代理人として訴訟行為をなすことができるものと解すべきである。