訴訟当事者が死亡した場合、判決に承継人を当事者と表示することなく、そのまま死亡した当事者を表示したとしても違法とはいえない。
訴訟当事者の死亡と判決の当事者の表示
民訴法191条1項4号
判旨
当事者が死亡したとしても、訴訟代理人が存在する場合は訴訟手続は中断せず、死亡した当事者を表示した判決であっても実質的にはその相続人等の承継人に対する判決として有効である。
問題の所在(論点)
訴訟代理人が存在する場合において、当事者が死亡したにもかかわらず、その死亡した当事者を判決書に表示してなされた判決の有効性および効力関係が問題となる。
規範
当事者が死亡した場合、原則として相続人が当然にその地位を承継する。訴訟代理人が存在する場合には、当事者の死亡によって訴訟手続は中断しない(民事訴訟法124条2項参照)。したがって、死亡した当事者を表示してなされた判決は、実質的には承継人に対する判決としての効力を有し、ただ何人が承継人であるかの確定を執行文付与等の後日の段階に譲ったものと解するのが相当である。
重要事実
本件訴訟の係属中において、当事者の一方が死亡した。しかし、当該当事者には訴訟代理人が選任されていたため、訴訟手続は中断することなく続行された。原審は、死亡した当事者をそのまま表示した状態で判決を言い渡した。これに対し、上告人側は死亡した当事者を表示した判決には違法があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件では訴訟代理人が存するため、当事者の死亡によっても訴訟手続は中断しない。この場合、相続人が当然に承継人として当事者の地位を引き継いでいる。判決書において死亡した当事者が表示されているとしても、それは形式的な表示の不備にすぎず、訴訟代理人を通じて手続に関与していた承継人に対する判決としての実質を備えている。正確な承継人の特定は、執行段階等の後日において確定すれば足りるため、判決が当然に無効となることはない。
結論
死亡した当事者を表示した判決は、実質的には承継人に対する判決として有効である。したがって、原判決に所論の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟代理人がいる場合の受継不要の原則を確認する重要判例である。答案上は、当事者死亡後の判決の効力や執行力の範囲を論じる際、表示の誤りがあっても承継人に効力が及ぶ根拠として引用する。執行文付与(民事執行法27条)によって承継人を特定・補完するという実務上の処理の理論的裏付けとなる。
事件番号: 昭和36(オ)374 / 裁判年月日: 昭和36年11月9日 / 結論: 棄却
訴訟代理人は、その選任者である訴訟代理人の死亡によつて、当然に、その代理権を失なうものではない。
事件番号: 昭和38(オ)455 / 裁判年月日: 昭和39年11月19日 / 結論: 棄却
訴訟係属中に死亡した訴訟代理人の氏名を判決の当事者欄に記載しているからといつて、同人が死亡後も訴訟を遂行した旨の判示をしているわけではなく、なんら違法はない。