訴訟代理人は、その選任者である訴訟代理人の死亡によつて、当然に、その代理権を失なうものではない。
訴訟復代理権は訴訟代理人の死亡によつて消滅するか。
民訴法85条,民法653条
判旨
訴訟復代理人は、選任した訴訟代理人が死亡しても、その代理資格を当然に失うものではない。
問題の所在(論点)
訴訟代理人が死亡した場合、その訴訟代理人によって選任された訴訟復代理人の代理権は消滅するか。民事訴訟法上の代理権の独立性と消滅事由が問題となる。
規範
訴訟復代理人は、訴訟代理人がその権限に基づいて選任するものであるが、選任された後は独立して当事者本人の訴訟代理人となる。したがって、本人と訴訟復代理人との間の代理関係は、選任者である訴訟代理人の地位に依存するものではなく、訴訟代理人の死亡という事由によって当然に消滅することはない。
重要事実
上告人の相手方である被上告人(被控訴人)側の訴訟手続において、訴訟代理人が訴訟復代理人を選任したが、その後、当該訴訟代理人が死亡した。上告人は、訴訟代理人の死亡により復代理権も消滅するため、その後の訴訟手続には代理資格の欠如という違法があると主張して上告した。なお、記録上、特定の口頭弁論期日において被上告人本人自身が出頭し、従前の口頭弁論の結果を陳述していた事実も認められた。
あてはめ
訴訟復代理人は、選任行為を経て本人のために適法に訴訟行為をなし得る独立の代理人としての地位を有する。この地位は、選任した代理人の生存を前提とするものではなく、本人の利益を保護し訴訟継続を安定させる観点からも、選任者の死亡に左右されない。本件においても、訴訟代理人の死亡後に復代理人が行った訴訟行為は有効である。さらに、本件では被上告人本人が自ら出頭し追認に近い陳述を行っている点も考慮すれば、訴訟手続上の違背はないといえる。
結論
訴訟代理人が死亡しても、訴訟復代理人の代理権は消滅しない。したがって、原判決に訴訟手続の違背はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟復代理人の独立性を明示した重要判例である。答案上は、訴訟代理権の消滅事由(民訴法58条、111条等)の解釈において、復代理人の地位を論じる際に活用できる。また、本人が出頭して陳述している場合の瑕疵の治癒という側面にも触れることが可能である。
事件番号: 昭和36(オ)848 / 裁判年月日: 昭和37年3月15日 / 結論: 棄却
訴訟当事者が死亡した場合、判決に承継人を当事者と表示することなく、そのまま死亡した当事者を表示したとしても違法とはいえない。