訴訟係属中に死亡した訴訟代理人の氏名を判決の当事者欄に記載しているからといつて、同人が死亡後も訴訟を遂行した旨の判示をしているわけではなく、なんら違法はない。
死亡した訴訟代理人の氏名を判決の当事者欄に記載したことの違法性の有無。
民訴法395条1項4号
判旨
判決書の当事者表示欄に死亡した訴訟代理人の氏名が記載されていても、直ちに当該代理人が死亡後も訴訟を遂行したことを意味するものではなく、判決を違法とする事由にはならない。
問題の所在(論点)
訴訟代理人が訴訟係属中に死亡したにもかかわらず、判決書の当事者欄に当該代理人の氏名が記載されている場合、その判決は違法か。
規範
判決書における当事者および代理人の表示は、当該訴訟の当事者適格や代理権の存否を形式的に示すものであり、その記載内容のみをもって実体的な訴訟行為の有無や効力を判断するものではない。誤記や不適切な表示がある場合でも、判決の内容や手続の過程に照らして実質的な違法が認められない限り、判決の効力は妨げられない。
重要事実
上告人らの訴訟代理人であったDは、本案訴訟が原審に係属中に死亡した。しかし、言い渡された原判決の当事者表示欄には、訴訟代理人として死亡したDの氏名が依然として記載されていた。上告人らは、この記載が不当であり、原判決は条理や社会通念、採証法則に違反するものであるとして上告を申し立てた。
事件番号: 昭和28(オ)111 / 裁判年月日: 昭和31年7月27日 / 結論: 破棄差戻
不動産の譲渡人から与えられた代理権に基き、譲渡人の死亡後同人の代理人名義の申請によつてなされた移転登記は、それが現在の真実な権利状態に符合するものである限り、対抗力を有し、譲渡人の相続人は譲受人に対し、その抹消を請求することはできない。
あてはめ
原判決の当事者表示欄に死亡したDの氏名が記載されている事実は認められる。しかし、原判決はDが死亡後も実際に訴訟を遂行した旨を判示しているわけではない。このような表示がなされたとしても、直ちに死者が訴訟に関与したという事実を示すものとは解されない。また、売買契約の成否という事実認定についても、原審の証拠取捨選択は裁量の範囲内であり、単に代金額と時価の対比のみで判断したわけではない。したがって、手続上の重大な瑕疵や認定過程の違法は認められない。
結論
判決書への死亡した代理人の氏名記載は、直ちに判決を破棄すべき違法事由にはならず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟代理人の死亡による訴訟手続の中断・受継(民訴法124条以下)や、代理権の消滅に関する実務上の処理を想起させる事案である。答案上は、判決書の形式的記載ミスが直ちに手続的保障の侵害や判決の違法に直結するわけではなく、実質的な訴訟行為の適法性に基づいて判断すべきであることを示す際の傍証として活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)128 / 裁判年月日: 昭和28年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書に証拠番号の誤記があったとしても、それが単なる表記上の誤りであることが明白な場合には、上告理由とはならない。 第1 事案の概要:原判決において、配当期日呼出状が送達された事実を認定する際、その証拠として「乙第三号証の一乃至三」と記載された。しかし、実際には当該事実は「乙第三号証の一乃至五」に…
事件番号: 昭和38(オ)565 / 裁判年月日: 昭和39年9月18日 / 結論: 棄却
代理権を有する者のなした権限外の行為がその代理権となんら関係のない場合でも、相手方において代理人に権限があると信ずるに足る正当な理由があるときには、民法第一一〇条の適用がある。
事件番号: 昭和33(オ)79 / 裁判年月日: 昭和35年8月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本人が代理人に対して特定の法律行為(本件では不動産の売買契約)を行うための権限を授与していた場合には、当該代理人が本人の名において行った行為の効果は本人に帰属する。 第1 事案の概要:本件において、上告人の代理人であるDは、被上告人である宮城県との間で、上告人が所有する本件建物を売り渡す旨の売買契…