判旨
判決書に証拠番号の誤記があったとしても、それが単なる表記上の誤りであることが明白な場合には、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
判決書において事実認定の基礎となる証拠番号の誤記がある場合、それが判決を破棄すべき違法(上告理由)に該当するか。
規範
判決書の記載に明白な誤記がある場合であっても、それが実質的な事実認定や結論に影響を及ぼさない形式的な過誤に留まる限り、判決の適法性は維持される。
重要事実
原判決において、配当期日呼出状が送達された事実を認定する際、その証拠として「乙第三号証の一乃至三」と記載された。しかし、実際には当該事実は「乙第三号証の一乃至五」によって証明されるものであった。
あてはめ
本件における証拠番号の記載は、客観的には「乙第三号証の一乃至三」とされているが、その前後の文脈や証拠関係に照らせば「乙第三号証の一乃至五」の単純な誤記であると認められる。このような形式的な誤記は、事実認定の根拠を欠くものとはいえず、判決の結果に影響を及ぼすものではない。
結論
本件誤記は上告理由に該当しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、判決書の形式的瑕疵(誤記)に関する判断を示したものである。実務上、判決更正(民事訴訟法257条)の対象となるような軽微な誤りについては、それ自体を独立した上告理由として構成することは困難であることを示唆している。
事件番号: 昭和33(オ)258 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審が行った証拠の取捨選択および事実認定が適法である限り、上告審においてこれと異なる事実を主張して原判決を非難することは、上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審が認定した売買の事実について、証拠の取捨選択や事実認定に誤りがあるとして、原判決の違法を主張し、上告を申し立てた。なお、…
事件番号: 昭和39(オ)53 / 裁判年月日: 昭和39年11月27日 / 結論: 棄却
記録簿から抜き書きしたうえこれに説明を加えた書面は、それ自体が書証原本として提出されたものであるかぎり、証拠とするにさまたげない。
事件番号: 昭和26(オ)592 / 裁判年月日: 昭和27年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】書証の原本と写しの同一性に関する事実誤認の主張は、単なる手続違背の主張にすぎず、憲法32条違反等の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審に提出された書証(甲第5号証)の写しが口頭弁論に顕出された原本と異なる内容であるにもかかわらず、原判決がこれを原本と即断・誤解して事実認定の資…
事件番号: 昭和36(オ)154 / 裁判年月日: 昭和36年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書の当事者表記に明らかな誤記がある場合でも、判決の更正決定によって修正されたときは、当該誤記を理由として判決を破棄することはできない。 第1 事案の概要:原判決において、被控訴人と記載すべき箇所を「控訴人」と誤記する当事者の表記ミスが存在した。しかし、原審(控訴審裁判所)は、上告審の判断前に昭…
事件番号: 昭和31(オ)787 / 裁判年月日: 昭和33年8月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に影響を及ぼさない事実認定の過誤や、傍論にすぎない不要な説示の違法を主張する上告理由は、原判決の破棄事由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が認定した事実のうち「上告人が訴外Bのために家屋を移築すべき宅地の借受交渉を被上告人に対して行った」とする点に事実誤認があると主張した。ま…