判旨
国内の所在地にある外国会社等に対して邦貨で損害賠償金を支払う行為は、外国為替及び外国貿易管理法上の支払制限等に抵触せず適法である。
問題の所在(論点)
国内に拠点を持つ外国法人等に対し、邦貨で損害賠償金の支払を行うことが、外国為替及び外国貿易管理法27条等の規制に抵触し違法となるか。
規範
外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条の定める支払制限等の規制は、居住者による非居住者等への支払を制限するものであるが、国内に所在する拠点(支店・事務所等)に対して日本円(邦貨)で行われる支払については、同条の禁止する違法な支払には該当しない。
重要事実
被上告人は、香港に本拠を置く訴外E社との間で契約を結んでいたが、実際には東京都千代田区内のビルに所在するE社に対し、損害賠償請求に係る金員(29万792円)を邦貨で支払った。上告人は、この支払が外国為替及び外国貿易管理法27条に違反し違法であると主張した。なお、第一審において被上告人はE社が香港にある旨主張していたが、原審において国内の所在地に対する支払である旨に訂正されていた。
あてはめ
本件において、被上告人が損害賠償金を支払った相手方は、名目的には香港の会社であるE社との契約に基づくものであっても、実際の支払先は東京都千代田区内に所在する拠点であったことが認められる。このように国内に存在する主体に対し、通貨として邦貨(日本円)を用いて行われた支払は、外貨流出の防止等を目的とする当時の為替管理法の規制対象となる「非居住者等に対する対外的な支払」には当たらない。したがって、当該支払行為に違法性は認められない。
結論
国内の拠点に対し邦貨で行われた支払は適法であり、外国為替及び外国貿易管理法に違反しない。
実務上の射程
為替管理法規が関わる事案において、支払の相手方の所在地(国内か国外か)および支払手段(邦貨か外貨か)を区別し、規制の射程を判断する際の基礎的な先例として機能する。
事件番号: 昭和43(オ)1126 / 裁判年月日: 昭和44年2月21日 / 結論: 棄却
売買契約がなされたが、買主において代金の調達ができず再三代金支払期日の延期をえた等原判示のような事情のもとに合意解除がなされたときは、買主は手附を放棄したものと解するのが相当である。