裁判所と弁護士会との申合せに基き、訴訟代理人たる弁護士に対する判決正本の送達が、裁判所書記官の命をうけた雇員より、裁判所構内弁護士控室に常勤する弁護士会の事務員に対して交付され、同事務員を通じて当該弁護士がこれを受領し、同封された送達報告書に弁護士が書類受領者としての捺印を施して裁判所に返送する方法によりなされた場合においては、右事務員に判決正本が交付されたときに有効な送達があつたものと認めるべきである。
裁判所と弁護士会との申合せに基く裁判所書記官のなす送達が有効と認められた一事例
民訴法163条,民訴法170条
判旨
裁判所構内の弁護士控室に常勤する弁護士会事務員に対し、裁判所書記官の命を受けた職員が判決正本を交付し、弁護士がこれを異議なく受領した場合には、交付した時点で有効な送達があったと認められる。
問題の所在(論点)
弁護士会との慣行に基づき裁判所構内の事務員に書類を交付した場合の送達の効力発生時期、および実際の交付日と異なる日付が記載された送達報告書の効力が問題となる。
規範
民事訴訟法における送達の効力は、原則として法定の送達場所に交付された時に発生する(民事訴訟法160条等)。特に弁護士会との申合せに基づく慣行がある場合、裁判所構内において送達事務を補助する弁護士会事務員に書類を交付することは、交付送達(同法182条)ないし出会送達(同法183条)の趣旨に照らし、その交付の時点で有効な送達としての効力を生ずる。
重要事実
第一審裁判所では、弁護士会との申合せにより、弁護士控室に常勤する弁護士会事務員を通じて書類を交付する送達慣行があった。本件でも、裁判所職員が昭和27年11月17日、弁護士会事務員に判決正本を交付し、訴訟代理人弁護士は同事務員を通じてこれを異議なく受領した。後に弁護士は送達報告書の紛失を認めつつも、昭和28年1月22日を送達日とする報告書の作成を要求し、これに従った報告書が作成された。しかし、控訴が提起されたのは昭和28年2月2日であり、11月17日が送達日であれば控訴期間を徒過していた。
あてはめ
本件では、長年の慣行に従い、裁判所書記官の命を受けた職員が弁護士会事務員に書類を渡しており、弁護士本人もこれを現実に受領している。民事訴訟法の送達に関する規定(旧法170条、163条等)の趣旨に鑑みれば、弁護士会事務員に書類が渡された昭和27年11月17日の時点で送達は有効に完了したと評価すべきである。事後に作成された送達報告書の日付が1月22日であっても、客観的事実に反する以上、送達の効力発生時期を左右するものではない。
結論
本件送達は昭和27年11月17日に有効になされたものであり、控訴期間を徒過した昭和28年2月2日の控訴提起は不適法として却下される。
実務上の射程
送達の効力発生は、送達報告書という書面の記載内容よりも、客観的な交付の事実によって決まることを示している。また、弁護士会事務員を経由する慣行(いわゆる弁護士ボックス等への投入に近い形態)においても、受領の事実が認められる限り、交付時点での送達の有効性を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和27(オ)1075 / 裁判年月日: 昭和30年11月29日 / 結論: 棄却
金員の預託を受ける行為も、相互会社の目的の範囲の行為というを妨げない。