金員の預託を受ける行為も、相互会社の目的の範囲の行為というを妨げない。
金員の預託を受ける行為と相互会社の目的の範囲
民法43条,保険業法5条,銀行法1条2項,銀行法2条
判旨
会社の権利能力は、定款に定められた目的自体に含まれなくても、目的遂行に客観的抽象的に必要な範囲の行為に及ぶ。生命保険会社の支部長による金員の受託行為は、営業としてなされない限り、客観的に目的遂行に必要な範囲内といえる。
問題の所在(論点)
法人の目的の範囲(権利能力)を画定する基準、および保険会社による金員の受託行為が「目的の範囲内」といえるか。
規範
会社(中間法人を含む)の権利能力は、定款に定められた目的の範囲内に限られるが、目的遂行に必要な行為であればこれに含まれる。その必要性の判断にあたっては、当該行為が定款記載の目的に現実に必要であるか否かではなく、客観的・抽象的に見て必要といえるか否かという基準に従って決すべきである。
重要事実
上告人(生命保険会社、中間法人)の支部長Eは、上告人の代理人として被上告人から金員の預託を受けた。上告人は、保険業法等の禁止規定に基づき他の事業を営むことはできず、金員の受託は会社目的の範囲外であり無効であると主張して、その返還義務を争った。なお、当該受託行為は「営業」としてなされたものではなく、単なる寄託としての性質を有するものであった。
あてはめ
まず、保険業法等の他業禁止規定は「営業」として金員を受託することを禁じる趣旨であり、単なる寄託まで禁じるものではない。次に、本件の金員受託についてみると、生命保険事業を営む会社が時に金員の預託を受けることは、客観的・抽象的に見て会社目的の遂行に必要な行為となり得る。したがって、たとえ本件行為が現実の目的遂行に必要でなかったとしても、客観的基準によれば目的の範囲内に属すると評価される。
結論
本件金員の受託行為は会社目的の範囲内に属し、上告人にその効力が帰属するため、上告人は返還義務を免れない。
実務上の射程
民法34条の「目的の範囲」の解釈におけるリーディングケースである。答案上は、まず目的遂行に必要な行為も含まれることを示し、あてはめで「客観的・抽象的必要性」の基準を適用する。会社を相手方とする取引の安全を保護する観点から、範囲を広く認めるのが判例の確立した態度である。
事件番号: 昭和28(オ)777 / 裁判年月日: 昭和30年10月28日 / 結論: 棄却
裁判所と弁護士会との申合せに基き、訴訟代理人たる弁護士に対する判決正本の送達が、裁判所書記官の命をうけた雇員より、裁判所構内弁護士控室に常勤する弁護士会の事務員に対して交付され、同事務員を通じて当該弁護士がこれを受領し、同封された送達報告書に弁護士が書類受領者としての捺印を施して裁判所に返送する方法によりなされた場合に…