判旨
株式会社(商法上の商人)が締結した委託契約の解除に伴う不当利得返還義務は、商行為に基づき発生した債務にあたると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
株式会社が締結した委託契約が解除された場合における、その返還義務(不当利得返還債務等)が「商行為に基く債務」に該当するか。
規範
商人がその営業の範囲内においてする行為は商行為であり、商行為によって生じた債務には商法上の規定が適用される(商法503条1項参照)。契約の解除による原状回復義務や金員返還義務についても、その原因となった契約が商行為である場合には、特段の事情のない限り商行為に基づき発生した債務として扱われる。
重要事実
被上告人(株式会社)は、当時の社名において上告人との間で本件委託契約を締結した。その後、当該契約が解除されたことに伴い、被上告人が受領していた金員の返還義務の存否およびその性質が争点となった。
あてはめ
被上告人は契約当時から株式会社という商法上の商人であったことが確定している。株式会社が行う行為は営業のためにするものと推定され(商法503条2項)、本件委託契約は被上告人の商行為に該当する。したがって、その契約の終了・解除に伴って発生した金員返還義務も、商行為という原因から派生した債務であり、「商行為に基く債務」であると認められる。
結論
本件委託契約の解除による金員返還義務は商行為に基づく債務である。したがって、これに反する上告人の主張は採用できない。
実務上の射程
株式会社が当事者である契約から生じる債権債務について、その付随的・派生的な義務(解除による返還義務等)も広く商事債務に含まれることを示したものである。答案上は、消滅時効(旧商法522条の5年時効等)や商事法定利息の適用の要否を判断する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)344 / 裁判年月日: 昭和38年6月25日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和32(オ)831 / 裁判年月日: 昭和36年4月20日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】売買の委託等の商取引において契約当事者が誰であるかは、商談の経緯、帳簿の記載、仕切書の宛名、事前の連絡状況等の諸般の事情を総合して判断すべきである。形式的な書面の記載のみならず、取引の実態や当事者の合理的な行動原理に照らして真実の委託者を確定する必要がある。 第1 事案の概要:被上告人(組合)は、…