判旨
建物の使用関係が民法上の賃貸借に該当するか否かは、当事者間の合意内容や対価支払の有無等の実態に基づき判断される。本件では、諸事情に照らし、当該使用関係は賃貸借ではないと判断された。
問題の所在(論点)
本件家屋の使用関係が、民法上の賃貸借契約としての法的性質を有するか。特に、賃貸借の成立要件である賃料の合意や対価性といった要素が認められるかが問題となる。
規範
契約の法的性質が賃貸借(民法601条)に該当するか否かは、当事者間において、一方が物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び契約が終了したときにその物を返還することを約したといえるか、その実態により判断すべきである。
重要事実
本件上告人は、対象となる家屋の使用関係が賃貸借であることを前提に権利を主張したが、原審においては、当該家屋の使用関係を巡る具体的認定事実に照らし、賃貸借契約の成立を否定する判断が下されていた。
あてはめ
判決文からは詳細な具体的事実は不明であるが、原判決が認定した事実によれば、本件家屋の使用関係において、賃貸借契約の本質的要素である賃料の支払い等を含む合意があったとは認められない。したがって、当該使用関係を賃貸借でないと判示した原審の判断は相当である。
結論
本件家屋の使用関係は賃貸借ではない。したがって、賃貸借を前提とする上告人の主張は理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
賃貸借の成否が争われる事案における当てはめの結論を支持した簡潔な先例である。答案上は、使用貸借や単なる事実上の利用との区別が問題となる場面で、賃料の対価性や合意の有無といった契約の成立要件を厳格に検討すべきことを示す際に参照し得るが、本判決自体に詳細な規範が示されているわけではない点に留意が必要である。
事件番号: 昭和27(オ)1108 / 裁判年月日: 昭和28年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の賃借人が第三者に「間貸」を行うことは、当然に民法612条の転貸に当たらないとはいえず、実態に応じて同条の転貸に該当し得る。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)が、本件建物の一部を「間貸」という形式で第三者に使用させていた。原審は、当該間貸の実態を検討した結果、民法612条に規定される「転貸」…