判旨
判決言渡直後に訴訟手続が中断し送達が遅れたとしても、中断解消後に遅滞なく送達されれば違法ではなく、受継申立の通知を欠いても、受継を認める裁判が送達され上告が可能であったなら原判決は違法とならない。
問題の所在(論点)
1. 判決言渡直後の中断により判決送達が遅延した場合、判決原本に基づき速やかに送達すべき旨の規定に違反し、原判決の効力に影響を及ぼすか。2. 受継申立の通知を欠いたまま受継の裁判がなされた場合、その手続上の瑕疵は原判決を違法とする事由になるか。
規範
1. 判決の送達は、判決言渡後であっても訴訟手続が法律上中断している間はなし得ないが、受継により中断が解消した後に遅滞なく送達がなされれば、判決原本に基づき速やかに送達すべきとする原則(旧民訴法193条)に反しない。2. 受継申立の通知を欠いた手続上の瑕疵があったとしても、受継を理由ありとする裁判が送達され、当事者が不服申立等の訴訟権利を行使できる状態にあれば、原判決を違法として破棄すべき理由にはならない。
重要事実
本件において、判決言渡の直後に訴訟手続が中断したため、判決の送達が法律上不可能な状態となった。その後、被上告人(相手方)から受継の申立がなされ、裁判所はこれを理由ありとする裁判を行った。上告人らに対しては、この受継申立自体の通知はなされなかったものの、受継を認める裁判については送達がなされた。上告人らはこの送達を受けた後、本件上告を申し立てている。
あてはめ
1. 送達の遅延について、記録上、判決言渡直後の中断期間中は法律上送達が不可能であったことが認められ、中断解消後は遅滞なく送達が実施されている。したがって、手続上の不当な遅滞があるとはいえず、違法性は認められない。2. 受継手続について、受継申立の通知がなされなかった点は瑕疵となり得るが、本件では既に受継を認める裁判がなされて上告人等に送達されている。上告人らはそれに基づき現に上告を申し立てて防御の機会を得ているため、通知の欠如を理由に原判決を違法と断ずることはできない。
結論
判決送達の遅延および受継申立の通知欠如はいずれも原判決を違法とする理由にはならず、上告は棄却される。
事件番号: 昭和25(オ)118 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論終結後、裁判官が退廷した後に書記官と当事者一方が法廷に居残ったとしても、その事実のみで直ちに訴訟手続または判決が違法となるわけではない。また、判決書における「控訴人」と「被控訴人」の誤記が判決の結果に影響を及ぼさない場合には、上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人(控訴人)は、原…
実務上の射程
訴訟手続の中断・受継に関連する手続規定の違反が、どの程度の瑕疵であれば判決の破棄事由となるかの境界を示す。実務上は、手続的権利(不服申立の機会)が実質的に保障されている限り、形式的な通知の欠如や中断に伴う送達遅延は判決の効力に影響しないと解する指針となる。
事件番号: 昭和36(オ)1377 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において初めて予備的請求を追加・申立てることは、当事者の審級の利益を奪うものではなく、適法である。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物に関する権利を主張して訴えを提起した。第一審の判断を経て、控訴審(原審)において初めて予備的請求の申立てを行ったところ、原審…
事件番号: 昭和34(オ)229 / 裁判年月日: 昭和37年3月16日 / 結論: 棄却
一 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達がなされなかつたが、同代理人が同期日前に裁判所に出頭して受任事件記録を閲覧した際、同期日の指定を知つたが期日には出頭しなかつたときには、同代理人は同期日に出頭して同期日呼出手続の違法について異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法につ…
事件番号: 昭和57(オ)1005 / 裁判年月日: 昭和58年11月24日 / 結論: 棄却
第一審の訴訟手続に民訴法一八七条三項違背があつても、控訴審は当然に第一審判決を取り消さなければならないものではない。
事件番号: 昭和37(オ)664 / 裁判年月日: 昭和38年3月29日 / 結論: 棄却
適式に期日の告知を受けた訴訟代理人が期日前に辞任した場合、改めて当事者本人に対する期日呼出をする必要はない。