判旨
同一の建物について二重の賃貸借契約が締結されたとしても、その事実のみをもって直ちに当該契約を違法とすることはできない。
問題の所在(論点)
同一の不動産を目的として、相前後して複数の賃貸借契約が締結された場合(二重賃貸借)、後になされた契約は当然に違法となるか。
規範
同一の不動産を目的として複数の賃貸借契約が締結される「二重賃貸借」は、契約自由の原則に基づき、その契約締結の事実のみをもって当然に違法(公序良俗違反等)となるものではない。
重要事実
家主Dが所有する同一の建物につき、被上告人との間で昭和16年末に賃貸借契約を成立させた一方で、上告人との間でも賃貸借関係が生じていたとされる事案。上告人は、同一建物につき二重の賃貸借がなされることは違法である旨を主張して争った。
あてはめ
本件において、原審は被上告人と家主Dとの間に賃貸借契約が成立した事実を証拠に基づき適法に認定している。この点、上告人は同一建物に関する二重賃貸借の違法性を主張するが、債権契約は当事者の合意により成立するものであり、履行不能等の問題は別途生じ得るものの、契約の締結自体が直ちに法に抵触するわけではない。したがって、二重賃貸借であることのみを理由に原判決を違法と断ずることはできない。
結論
同一建物につき二重の賃貸借がなされても、そのことだけではこれを違法ということはできない。
実務上の射程
債権の相対性および契約自由の原則を確認する趣旨。二重譲渡と同様、契約自体は有効に成立し、対抗要件(借地借家法31条等)の具備の有無によって法律関係が決定されることを前提としている。答案上は、二重賃貸借の有効性を論じる際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)968 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数人が共同の不法行為により建物を占有し、所有者の権利を侵害している場合、各占有者はその占有部分について共同不法占拠者として損害賠償義務や明渡義務を負う。原判決に法令の解釈に関する誤りがあったとしても、認定された事実から結論が正当であれば上告は棄却される。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告…