判旨
上告状において具体的根拠を示さず漠然と憲法違反や法律違背を主張するのみでは、適法な上告理由とは認められない。また、上告理由書の提出期限を徒過して提出された理由については、裁判所は判断を示さない。
問題の所在(論点)
上告状において具体的な理由を明示せず漠然と違憲・違法を主張することが適法な上告理由となるか。また、提出期限を徒過して提出された上告理由書の内容について裁判所は判断すべきか。
規範
上告を提起する際には、原判決における具体的な憲法違反や法律違背の箇所を特定して主張する必要がある。また、上告理由書は法定の提出期間内に提出されなければならず、期間経過後に提出された書面に基づく主張は、適法な上告理由として扱われない。
重要事実
上告人は上告状において「原判決は法律に違背し、且つ憲法に違反する」とだけ述べ、具体的な理由については後日提出する上告理由書で陳述すると記載した。しかし、実際に提出された上告理由書は、法定の提出期間を過ぎた後に裁判所へ到達したものであった。
あてはめ
上告人が上告状で行った主張は、具体的根拠を欠く抽象的・漠然とした憲法違反および法律違背の主張にとどまる。このような記載は、上告理由を特定するものとはいえず、不適法なものと評価される。さらに、詳細な理由を記した書面が期間後に提出されていることから、民事訴訟法上の手続的要件を充足していないと判断される。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。期間後に提出された上告理由書については、実体的な判断を与えない。
実務上の射程
民事訴訟における上告提起の厳格な手続的要件(理由の具体性、提出期限の遵守)を確認する事例。答案上は、上告理由の特定を欠く不適法な上告の例、あるいは期間徒過による手続的効果を説明する際の基礎資料として用いる。
事件番号: 昭和34(オ)153 / 裁判年月日: 昭和36年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の事実認定や証拠の取捨判断を非難するもの、または原審で主張しなかった事項を前提とするものである場合、これらは採用し得ない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の事実認定および法律上の判断、さらには証拠の取捨判断について不服を申し立て、上告理由を構成した。この中には、上告人が原審(控訴審…
事件番号: 昭和29(テ)9 / 裁判年月日: 昭和30年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が憲法違反の主張とは認められず、単に原判決を非難するにすぎない場合は、民事訴訟法(旧法)所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その具体的な主張内容は、原判決の判断を非難することに帰着するものであった。 第2 問題の…
事件番号: 昭和29(オ)128 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、単なる訴訟法違反や事実誤認の主張は上告理由に該当せず、法令解釈に関する重要な主張も含まれない場合は上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した上告について、その論旨が単なる訴訟法違反および事実誤認の主張にとどまるもので…
事件番号: 昭和27(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に法令違反や事実認定の不当を主張するものに過ぎず、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告事由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における憲法違反等を主張して上告を提起した。また、原審の口頭弁論に関与した裁判官の署名捺印の有無に…