判旨
原審で主張されなかった事実に基く違憲の主張は、上告審において採用することができない。
問題の所在(論点)
原審(下級審)において主張されなかった事実を前提として、上告審(最高裁)で新たに憲法違反の主張をすることが許されるか。
規範
上告審は事後審であり、原則として原審において主張・立証された事実を基礎として判断を下すべきものである。したがって、憲法違反を主張する場合であっても、原審で主張されなかった事実を前提とする主張は、不適法なものとして却下または棄却される。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)までの手続において全く主張していなかった新たな事実を前提として、本件に関する憲法違反の主張(論旨第五点)を最高裁判所に対して行った。
あてはめ
上告人の主張する憲法違反の論旨は、原審で主張されなかった事実を前提とするものである。民事訴訟における上告審の性格上、事実認定の基礎となるべき資料は原審までに提出される必要があり、新たな事実に基づく憲法判断の要請は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」の要件を満たさない。
結論
原審で主張されなかった事実を前提とする違憲の主張は採用できず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
上告審における新事実の提出禁止の原則を憲法主張の場面でも確認したものである。答案上は、事後審構造や上告理由の制限を論じる際の根拠として活用できるが、本判決自体は極めて簡潔な形式的判断にとどまっている点に留意が必要である。
事件番号: 昭和26(オ)747 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原判決の事実認定に沿わない独自の事実を前提として憲法違反を主張することは、上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が認定した事実とは異なる事実を想定し、その想定事実に基づいて憲法違反(違憲)を主張して上告を提起した。 第2 問題の所在(論点):原判決の事実…
事件番号: 昭和26(オ)644 / 裁判年月日: 昭和27年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地権の譲受や使用貸借契約の成立といった事実認定の不当を憲法違反として主張することは、実質的に事実認定を争うものにすぎず、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、本件宅地の借地権を被上告人から譲り受けた事実、または被上告人から建物所有目的で期間の定めなく無償で使用することを許諾さ…
事件番号: 昭和26(オ)234 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張も含まないため、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:上告人等は、原判決を不服として最高裁判所に上告を提起した。しかし、その上告理由の内容は、上告特例法に定められた具体的な上告事由を充足す…
事件番号: 昭和26(オ)311 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、憲法違反の主張が実質的に同法1号から3号の事由に該当せず、法令解釈に関する重要な主張も含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は原審の判決に対し、憲法違反を主張して最高裁判所へ上告を提起した。しかし、その主張…