判旨
保証人が主債務者の委託を受けて保証した以上、主債務者と第三者との間の内部的な負担関係にかかわらず、保証人が弁済したときは主債務者に対して求償権を取得する。
問題の所在(論点)
主債務者と第三者の間に内部的な負担の合意がある場合、保証人がその第三者の負担分を弁済したときでも、債権者との関係で主債務者とされている者に対して求償権を行使できるか。
規範
委託を受けた保証人が弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させたときは、主債務者に対して求償権を取得する(民法459条1項)。この求償権の成否は、債権者に対する関係で主債務者として届け出た者との間で判断されるべきであり、主債務者と第三者との間の内部的な利益享受や負担割合の合意によって左右されない。
重要事実
Dは頼母子講に一口加入したが、内部的にはEと半口ずつ持つ約束であった。講に対する関係ではD単独の加入として落札金を受領し、Dは講に対して返掛債務(主債務)を負った。被上告人とEは、Dの委託によりこの債務を連帯保証した。その後、被上告人は保証人として、Eが内部的に負担すべきであった分を含む計1万3500円を講に支払った。Dの承継人(上告人)は、当該支払分は内部的にはEの負担分であるから、Dに対する求償は認められないと主張した。
あてはめ
本件において、講に対する関係で主債務を負っているのは単独加入したDである。被上告人は主債務者Dの委託を受けて連帯保証人となり、その責任に基づいて主債務者Dのために弁済を行っている。たとえDとEの内部関係において、落札金を分け合い、返掛金も各自が分担する合意があったとしても、それは主債務者側の内部事情に過ぎない。したがって、保証人である被上告人が債務を消滅させた以上、主債務者であるD(およびその承継人)に対して全額の求償を請求できるといえる。
結論
被上告人はDに対し、Eの内部的負担分を含めた弁済額について求償権を行使できる。したがって、上告人の主張は棄却される。
実務上の射程
保証債務の附従性および求償権の発生要件に関する基本的な考え方を示す。内部的な利益帰属(いわゆる「名義貸し」に近い構造)があっても、対外的な表示および委託関係に基づいて求償権の相手方を決定すべきとする実務指針となる。
事件番号: 昭和28(オ)119 / 裁判年月日: 昭和31年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭消費貸借契約の当事者の確定において、組合名義ではなく理事長個人を借主とし、他の者を連帯借主や連帯保証人とする合意が成立したと認められる場合には、当該個人を契約当事者と認めるべきである。 第1 事案の概要:被上告組合と、訴外D薪炭生産工業協同組合(以下「D組合」)の理事長であった上告人A1との間…